ロシア連邦第一審裁判所はLinkedInがロシアの個人情報国内保持法の不遵守のためにロシアへのアクセス遮断を命じた

〔Summary〕

10月25日、ロシアの独立系ビジネス新聞「コメルサント(実業家;ビジネスマンの意味)」Коммерса нтъ:Kommersant.ru」は、LinkedIn(LinkedIn(2003年5月にサービスを開始した世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービスおよび同サービスを提供するアメリカ合衆国カリフォルニア州シリコンバレーの企業。2014年8月現在の登録ユーザーは全世界で3億1300万人を超え、日本では、現在100万人以上が会員登録をしている)が、ロシア・モスクワ市の第一審タガンスキー地方裁判所(Тага́нский райо́нага́нский райо́н:Tagansky)が、2016年8月に「改正個人データに関するロシア連邦法(Federal Law No. 242-FZ 2014 )」 (注1)(後述する「データ・ローカライゼイション法(ロシアの個人情報国内保持法)」)に違反したとしてロシアのインターネット利用者からLinkedIn接続を遮断する旨のロシアのデータ保護庁(Федеральная служба по надзору в сфере связи, информационных технологий и массовых коммуникаций:Roskomnadzor) (注2)の告訴にもとづき、今回の罰則的措置を科したとのニュースが届いた。

同法は、ロシア国内のその個人データを格納するためにロシアの市民から個人データを集めたウェブサイトやその他の企業を対象とする。第一審の地方裁判所に訴えが係属し、今回の訴えはロシアの通信・情報技術・マスコミュニケーション監督庁である原告Roskomnadzorの勝訴であったが、被告の控訴に係る審理は2016年11月10日に行われる予定である。

同裁判で、Roskomnadzor1 (注3)は、LinkedInの行動が他の一般的なロシアのデータ・プライバシー法に加えて「データ・ローカライゼイション法」の規定に違反した(たとえば登録プロセスが完了する前に、彼らの同意なしで非使用者から個人データを集めること等)と主張した。これらの法律違反への処罰は、1)罰金によるか、または2)ロシアのインターネット利用者からウェブサイトを遮断することによって罰するという規定があり、今回、Roskomnadzorは後者の罰則を求めたものである。

今回のブログは、(1)ロシアの個人情報保護法制及び規制・監督機関の概要(わが国の総務省の資料の訂正も含む)、(2)米国のGoogleやFacebook等その他の大手SNSプロバイダーの保護法違法問題はないのか、ロシアの人権擁護団体の見解は如何、(3) 最後にわが国等でも正確な解説が皆無であるロシアの現行の司法制度につき、ロシアのRAPSI(国家司法情報局)等の解説資料等にもとづき概観しておく。

なお、今回はあえて正面から取り上げなかったが、ロシアの人権問題、特にIT監視社会問題 (注4) は、例えば本ブログの読者がロシアの連邦機関のウェブサイトにアクセスしたときの自身のPCにインストールしているセキュリティ・ソフトの反応を見れば一目であろう。機会を見て改めて取り上げたい。

1.ロシアの個人情報保護法制および保護にかかる連邦規制・監督機関の概要

わが国の解説として一般的に引用される資料は、以下の総務省の解説であろう。

「ロシア連邦「通信・情報技術・マスコミ監督庁(The Federal Service for Supervision of Communication, Information Technology, and Mass Media:ROSKOMNADZOR)」

Federal Service for Supervision of Communications, Information Technology, and Mass Media.

所掌事務:電気通信分野を直接的に監督する規制当局。事業者への免許付与、周波数割当、電波利用料の設定等を所掌する。」

ところが、筆者が独自に調べた限り、これはかなり正確性を欠く内容である。今回の改連邦保護法(いわゆる「データ・ローカライゼーション法」)違反につき、なぜROSKOMNADZORが告発したかが見えない。関心が弱いせいか調査内容が曖昧な理由は不明であるが、わが国の研究者の怠慢でもあろう。

以下の内容は、ロシアの通信・情報技術・マスコミ監督庁である「ROSKOMNADZOR」のサイトを筆者が仮訳したものである。

*ROSKOMNADZORサイトの訳文

通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)は、(1)電子メディアとマスコミュニケーション、情報技術と電気通信を含むメディア全般に対し監督責任があり、(2) 処理される個人データの守秘性を保護する法律の遵守状況を監視すること、(3)無線周波数サービスの仕事を組織化することに責任を負う連邦行政機関である。

(1)ロシア連邦「通信・情報技術・マスコミ監督庁(The Federal Service for Supervision of Communication, Information Technology, and Mass Media:ROSKOMNADZOR)」のHP(英語版)

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ROSKOMNADZOR長官:アレキサンダー・ジャーロフ(Жаров Александр Александрович:Alexander Zharov)

*ROSKOMNADZORの設置根拠法

THE GOVERNMENT OF THE RUSSIAN FEDERATION REGULATION

No. 228 of March 16, 2009 ON THE FEDERAL SERVICE FOR SUPERVISION OF COMMUNICATIONS, INFORMATION TECHNOLOGY,AND MASS MEDIA 11/4(20)

(2)2015年「連邦データ・ローカライゼーション法(No. 242-FZ)」2014年7月21日大統領署名

原文(英語版)は「Federal Law No. 242-FZ of July 21, 2014 on Amending Some Legislative Acts of the Russian Federation in as Much as It Concerns Updating the Procedure for Personal Data Processing in Information-Telecommunication Networks (with Amendments and Additions)」 である。

ジェトロの解説文(注5)があるが、今回の地裁判決の内容を正確に理解するには不十分である。経済産業省の委託調査報告(委託先:デロイト トーマツ リスクサービス株式会社)が、わが国では具体的な内容といえるので、ここであえて抜粋、引用する。なお、筆者の責任で連邦法等にリンクを張った。

2.2.2. ロシア連邦:

個人データ保護・プライバシー保護法の整備状況

(1)ロシア連邦では、「N152-FZ 2006年7月27日の個人データに関する連邦法」(以下、「個人データに関するロシア連邦法」という。)(注6)が包括的な個人データ保護・プライバシー保護法として整備されている。同法では、ロシア国外に個人データを移転するには、原則として個人データが十分に保護されているとロシア政府が認めた国である必要がある。

「The Order No. 274 of March 15, 2013, of Roskomnadzor」(registered by the Ministry of Justice of the Russian Federation on April 19, 2013; registration number 28212)によれば、ロシア政府が個人データを十分に保護していると認めた国は、47ヵ国とされている。

また、個人データが十分に保護されているとロシア政府が認めていない場合には、データ主体が同意している場合、ロシアが批准した国際条約に基づく場合、連邦法に基づく場合、契約を履行するために必要な場合、データ主体から書面による同意が得られない場合であって、かつ、重要な権益を保護するために必要な場合にのみ、ロシア国外への越境移転が認められる。

改正個人データに関するロシア連邦法の概要

(2)ロシア政府は、個人データに関するロシア連邦法を改正し、2015年9月1日に施行した。

改正法は、ロシア国民の個人データを収集するウェブサイトの運営者を対象に、データの保存、修正、更新などに使用するデータベースをロシア国内に設置しなければならないと定めている(第18条5項)。加えて、事業者が同改正法に違反した場合には、規制当局は違反した事業者のドメインに対するアクセスを遮断するようISPに対して命令することが可能となっている(第23条3項)。」

(平成28年3月「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備事業」(越境データフローに係る制度等の調査研究)報告書 経済産業省(委託先 デロイト トーマツ リスクサービス株式会社))から一部抜粋。

なお、ロシア連邦の外部監督機関である通信・マスコミュニケーション省(Roskomnadzor)は、少なくとも2016年1月までの間は、一部の米国企業に対して改正法の遵守状況を調べない意向であることを示していた。

(3)モスクワ・タガンスキー地方裁判所の判決原本

仮訳は略す。

2.LinkedIn判決をめぐる解説記事例

主な2つの解説記事を仮訳する。なお、一部記事内容に重複があるが、あえてそのまま記載した。

(1)10月26日付けモスクワ・タイムス記事「LinkedIn Under Attack in Russia: What’s Next? :Russia’s media watchdog takes aim at one of the world’s largest social networks」

以下、記事に即して仮訳する、なお、メデイア記事であるがゆえに伝聞記事の部分が気になるが、事実関係に関する点もあるのであえて加工しなかった。

○中国では、LinkedInは中国政府によって禁止されない唯一の主要なソーシャル・ネットワークであった。同社の経営陣は、規則によってプレーして、政治的に好ましくない内容を検閲することに同意した。皮肉にも、ロシアで、LinkedInは、規則に違反しないようもてあそばないためにクレムリン・メディア番犬Roskomnadzorによって禁止される最初のソーシャル・ネットワークとなった。

○それは、LinkedInはその保有するユーザ・データをロシア国内にあるサーバーに格納するためにロシアの市民の個人情報を処理することをインターネット会社を義務づけた2014年の連邦法を遵守していないという理由で訴えられたが、モスクワの控訴裁判所がRoskomnadzorに味方して、ソーシャルネットワーキング・サイトをブロックするという下級裁判所の決定を支持するならば、11月10日に何が起こるであろうか。

○LinkedInに対するRoskomnadzorの動きは、1つの単純な理由から関係者に驚きをもたらした。

多くのソーシャルネットワーク・サイトは、ロシアの市民のユーザ・データを収集、処理し、共有する。しかし、フェイスブックでもない、ツイッターでもない、WhatsAppでもない誰もが、実際に2014年の連邦法には従えないし、また、多くのアナリストは同法は強制しえないと思っていた。

メディア監視者Roskomnadzorは、裁判においてセキュリティ問題を起こした同社の歴史への反応にもとづき、LinkedInのターゲティングとして告訴した理由を説明した。LinkegInサイトは、2012年に640万のユーザー名とパスワードが盗まれた大きいのハッキング事件を引き起こしたがゆえに悪名高い。

○Roskomnadzorの報道官である ヴァデム・アムペロンスキー(Vadim Ampelonsky) ワジムAmpelonskyはモスクワ・タイムズに「彼らには悪い実績があります。毎年、ユーザ・データの安全性をめぐる大きなスキャンダルがある」と述べた。

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Photo:  Вадим Вячеславович

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しかし、多くのアナリストは、今回の裁判がどう見てもこれまで試されてない2014年の保護法が実施されることを証明することを目的とした世論操作のための裁判であると主張する。

ロシアでは、多くは法律が2011-2012年のモスクワ路上での抗議活動への反応として実装されたことを示唆した。そこにおいて、ソーシャル・ネットワークがコミュニケーションの主役を演じた。Roskomnadzorはソーシャル・ネットワークに対しより大きな支配を望むが、これまで、機能できる新しい法律を制定できなかった。

○アンドレイ・コンニヤ(Андрей Коняев : Andrei Konyaev)(人気がある科学ウェブサイトN+1のエディタ)は、「管理できないのならRoskomnadzorは監督機関でありえない.。これは、国内の消費に関し、Roskomnadzorが機能していることを示すことを目的としたものである」と述べた。

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○アンドレア・アレキシーエフ・ソルヴァトフ(Andrei Alekseyevich Soldatov (Андрей Алексеевич Солдатов)(Internet Defense Society NGOの代表)は、この問題につき次のように述べた。

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photo:Andrei Andrei Alekseyevich Soldatov (Андрей Алексеевич Солдатов)

○ロシアのNGO「Internet Defense Society」代表のレオニード・ヴォルコフЛеонид Волков:Leonid Volkov)は、Roskomnadzor(それはフェイスブックとツイッターのような会社との定期的な会議を開く)がデータ・ローカライゼイションのその交渉している位置を改善しようとしているように提案している。

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photo: レオニード・ヴォルコフ(Леонид Волков:Leonid Volkov)

「Roskomnadzorは、フェイスブックやツイッター以外の誰かをブロックすることができることを示したいのである。しかし、彼らはフェイスブックをブロックすることが決してできない。

○この2人のアナリストは、LinkedInがその「二流企業(second tier)」ステータスのために選ばれた点で同意した。2015年現在、合計4億になるロシアのソーシャル・ネットワークに対し、LinkedInのユーザー数はわずか500万人の登録されただけであった。

ヴォルコフは、「もし、監視機関がWhatsAppの利用を妨げる(アクセス遮断等)ならば、市民の抗議がメイン通りで起こるであろう。あなたが、選挙の前にそうすることができない。LinkedInは人気がない、そしてそれはロシアでは理解されないが、国際的には重要な問題である。」と述べた。

LinkedInのこのような動きは、同社のRoskomnadzorとの弱い関係からも生じるかもしれない。報道官アムペロンスキーによると、「Roskomnadzorは、多種多様な問題を議論するために、少なくとも年に2回フェイスブックやツイッター幹部と会う。これらの会社がとっている手順はRoskomnadzorを条件を満たし、その結果、Roskomnadzorはこれらの会社に対する制裁を計画していない。

他方、LinkedInはLinkedInはRoskomnadzorからの2通の手紙に反応することなく、またモスクワに代表部を持っていないため、Roskomnadzorに対し、ロシア国内でのユーザ・データを局所化することに関する情報を提供しなかった」と述べた。

しかし、モスクワ・タイムズへの正式な声明において、LinkedInはそれがデータの国内保持法についてRoskomnadzorと「接触しつつあったが、しかし、会う時間があたえられなかった」と述べた。

Roskomnadzorの動きの理由に関係なく、アナリストはLinkedInがきっと妨げられると思っている。しかし、メディア番犬(Roskomnadzor)の次の歩みは、まだ不明である。

フェイスブックにおいて、ロシアの人権活動家パーベル・チコフ(Pavel Chikov)は、LinkedInの禁止が世界的なインターネットからのロシアの段階的な退出の第一歩として用いられる「最悪のケース・シナリオ」を概説した。アンドレイ・コンニヤ(Andrei Konyaev)は、Roskomnadzorが他の「二流企業」のソーシャルネットワーキング・サイトを目標ともするかもしれないことを示唆した。

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photo:Pavel Chikov

ヴォルコフは、LinkedInへの攻撃が交渉するためにフェイスブックのような一流のプレーヤーに圧力をかけることを目的とすると信じている。しかし、Roskomnadzorがフェイスブックをブロックするというこの無言の脅迫で配達することが決してできない時から、彼は他の会社のために本裁判の意味が明白であると述べる。

(2)Hogan & Lovells Blog「ロシアの連邦第一審裁判所は”LinkedIn”がロシアの個人情報地域内保持法の不遵守のためにロシアへのアクセス遮断を命じた (Russian Court Decrees LinkedIn Blocked in Russia for Non-Compliance with Data Localization Law)」 を仮訳する。

前述した部分と重複する事実の文章の解説は略す。筆者の責任で言葉を補足した。

○メデイアからのインタビューにおいて、Roskomnadzorは、「LinkedInがプライバシーとユーザ・データの安全性を含むいくつかの最近の事件のために同監督機関の注意をひいた。同機関は、LinkedInの保護法の遵守状況に関する情報を得るために2つの警告要請文をLinkedInに送信したが、回答がなかった。Roskomnadzorは、LinkedInにはロシアで法律上の拠点(法人格)がないので、ロシアの市民のプライバシー権を保護するために解決方法としてロシアでアクセスを阻止させるべく裁判を起こした」と述べた。

○LinkedInは、インタビュで「自社のデータのローカライゼイションについてRoskomnadzorと接触したが直接会う時間は与えなかった。」LinkedInは裁判でも最初の審問に出席しなかった。LinkedInのウェブサイトは控訴手続き中はロシアで実際にブロックされなかった。そして、それは2016年11月10日に控訴審で審問される。

○この法施行は、計画された調査を通じて法令遵守の点検を行うというRoskomnadzorのより秩序立った取り組みに加えて、同時に法令布遵守の報告に基づく法施行の目標を選ぶことを証明した。さらに、それは、法施行の目標の1つが外国のプロバイダーを含む消費者オンラインサービスであるという確信をも補強するものである。

3..ロシアの連邦司法システムの概要

ロシア連邦最高裁判所(Верховный Суд Российской Федерации)のロシア連邦の司法制度概観解説「Overview of the Judicial System of the Russian Federation 」(英語版) を仮訳する。なお、Wikipediaの解説「Judiciary of Russia」もあわせ引用した。

ロシア連邦司法情報局(PRSI)のロシアの司法制度概要図

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体系的な理解に資するため、筆者が次のとおり一覧にした

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連邦最高裁の大法廷

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○「連邦憲法裁判所(Конституционный суд Российской Федерации))」の主要任務は、すべてのレベルの規範的な合法的行為の合憲性に関して訴訟を解決することである。 ロシア連邦の構成体の憲法(憲章)裁判所は、ロシア連邦の構成体の規範的な合法的行為の固守すべく連邦憲法(憲章)をチェックする。

「連邦最高裁判所(Верховный суд Российской Федерации)」は、「一般的な管轄権を持つ裁判システム」と「商業裁判所システム」のトップに位置する。最高の司法機関として、最高裁判所は、唯一の裁判所(第一審、控訴裁判所、破棄裁判所またはこれらの監督にあたる。同裁判所は、下級裁判所の活動のをコントロールするとともに、国内の法律の均一な適用を保証するために、裁判実務の諸問題に関して、彼らに明確な指針を与える。

○地方裁判所は、一般的な管轄権の法廷のシステムの基本的な要素である。これらの法廷は、大部分の民事(коллегии по гражданским)、刑事(коллегии по уголовным)、および行政(коллегии по административным)の訴訟を取り扱う。

若干の事件では、ロシア連邦の構成体の裁判所によって、第一審として取り扱われる。さらに、そこれらの裁判所は、地方裁判所と相対して控訴事件(Апелляционная коллегия)を審理する裁判所として機能する。

事件のカテゴリーに従い、ロシア連邦の構成体からなる裁判所の幹部会またはロシア連邦の最高裁判所の対応する裁判官会議(Президиум Верховного Суда Российской Федерации)は、破棄裁判所として機能する。

○一般的な管轄権の法廷のシステムの範囲内に専門的な軍管区裁判所(Военной коллегии)がある。そこでは、 駐屯軍レベルおよび軍の周遊(艦隊)のレベルが対象となる。

○「商業(仲裁)裁判所(арбитражный суд;)」は、起業家活動や他の経済活動の範囲で裁判を行う。商業裁判所システムは、① ロシア連邦(第一審)、②控訴事件を審理する商業裁判所(控訴事件審理)、③巡回商業裁判所(破棄裁判所)の3つの要素から成る。

商業裁判所システムの範囲内で「知的所有権」を扱う専門法廷がある。

○治安裁判所(мировой суд)は、民事事件では紛争額が50,000ルーブル(約8万円)以下で、また刑事事件では最大の可能性がある罰則が3年の拘禁刑の場合、また同様の複雑性を持った事件を扱う。治安判事の決定に対する控訴の訴えは、地方裁判所によって審理される。

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(注1)Baker & McKenzie LLP 「ロシアにおける個人情報保護の強化:ロシア国内のデータベース使用が、2015年1月1日から義務付けられる見通し」 が詳しく解説している。

(注2) 改正個人データに関するロシア連邦法(Federal Law No. 242-FZ 2014 ) を参照されたい。

なお、ロシアの個人情報保護法(Federal Law on Personal Data, No.152-FZ, July 27, 2006)個人情報取扱者の義務や安全管理措置に関する規定を定めている。

(注3) Roskomnadzor1設置の法的根拠 参照。

(注4) ロシアのIT監視社会問題の記事の例として2016.2.3 global voices記事「 ISPs Take Kremlin to Court Over Online Surveillance」等が参考になる。

(注5)「データローカライゼーション法」は、ロシア個人情報保護法を含む3つの連邦法の改正法として、2015年9月1日に施行された。同改正法では、ロシア国内の事業者(外資系企業の現法、支店および駐在員事務所を含む)および海外の事業者であって も、ロシア国内向けのウェブサイトを通じて個人情報を収集する者は、ロシア国民の個人情報をロシア国内のサーバー等で保存、保管しなければならないこと、ならびに、ロシア国内の事業者は、個人情報(ロシア国民のものであるか否かを問わない)を処理するサーバーの場所を通信・情報技術・マスコミュニケーション監督庁(Roskomnadzor)に通知しなければならないことなどが定められた。(ジェトロ「外資に関する規制 」から一部抜粋)。

(注6) 同改正法の英語版をMORRISON & FOERSTER LLPが作成している。

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イタリア個人情報保護庁の「ビジネス目的の個人情報データの処理に係る倫理・望ましい行動規範」の10月1日実施

2016年9月20日付けの筆者のブログで、イタリア個人情報保護庁(del Garante per la protezione dei dati personali :GPDP)の最新動向に関し、「イタリア個人情報保護庁の2016年上期の法執行の動向調査レポートと保 護法の運用面からみた課題(その1)」「同(その2完)」を掲載した。

 最近、筆者にGPDPが10月1日から「商業情報目的のために実行すべき個人データの処理のための倫理および望ましい行動規範(Codice di deontologia e di buona condotta per il trattamento dei dati personali effettuato a fini di informazione commerciale”)」を実施した旨の9月30日付けのメールが届いた。

 EUや米国等にみる行動規範自体珍しいものではないが、そのような動き自体は正確に理解し、わが国としての対応を考える上で参考として、リースの概要を仮訳しておく。

 なお、前回も断ったとおり、筆者はイタリア法の専門家ではない。専門家による補足を期待する。

1.リリースの内容

○ GPDPは2016年10月1日から施行される「商業情報目的のために実行すべき個人データの処理のための倫理および望ましい行動規範」を、個人情報の保護のために適切に保証することによってその促進を図る目的で、各種関係団体、企業や利害関係のある消費者等とともに用意した。10月1日からは、商業・企業の経営者や管理者はその信頼性に関する情報を提供している企業は、同規範によって提供される個人データの処理を実行する必要がある。

○同規範は、ビジネス市場にとって特に重要な地域を統治し、個人の尊厳とプライバシーを尊重しながら、「データベース( banche dati )」や「分析ツール(strumenti di analisi)」の適切な使用にかかる条件を定める。

○また、関係者の同規範の理解を支援するために、イタリア情報保護庁は主な規範内容ルールを合成した解説画像(un’infografica)を作成した。

2.「商業情報目的のために実行すべき個人データの処理のための倫理および望ましい行動規範(Codice di deontologia e di buona condotta per il trattamento dei dati personali effettuato a fini di informazione commerciale”)」の内容

全文につき英語版が用意されており、逐一の仮訳は行わない。英語版の目次のみ以下あげる。

ただし、この規範内容は時間をかけた検討を基礎としていることは間違いなく、その具体性は翻訳する十分な価値があると考える。PDFで8頁である。時間を見て仮訳を試みたい。

Table of Contents

Preamble

Article 1 – Definitions

Article 2 – Requirements Applying to Business Information

Article 3 – Sources of the Business Information and Processing Mechanisms

Article 4 – Information to Data Subjects

Article 5 – Lawful Data Processing

Article 6 – Communication of Business Information

Article 7 – Matching and Usage of Business Information

Article 8 – Storage of Information

Article 9 – Exercise of Data Subjects’ Rights

Article 10 – Information Security

Article 11 – Verifying Compliance with the Code of Conduct

Article 12 – Final and Transitional Provisions

Article 13 – Entry into Force

3.主要な規範項目の図解

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URL: http://www.garanteprivacy.it/web/guest/home/docweb/-/docweb-display/docweb/5268223

*****************************************************************************:

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英米における警察官の身体装着カメラの使用義務化と苦情の大幅減少効果と実験的犯罪学(Experimental Criminology)の動向

最近、英国の実験検証に基づく犯罪学の研究者が、警察に対する苦情が警察官の身体にカメラ(身体装着カメラ(body-worn cameras:BWCs))を装填した後に、なんと93パーセントも下げさせ、かつ警察官の法執行行動が適正化されたという実証結果を公表したという記事を読んだ。

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Photo:TechCrunch記事から引用

 筆者が強い関心を持ったのは、1)その大規模な実験の結果の内容理解に止まらず、2)米国で常に問題視されている白人警察官による黒人の射殺事件との関係などから米国の研究はどうなっているのか(筆者注1)、3)ボデイカメラの機能や価格はいかなるものか、4)筆者はもともとは刑法、犯罪学の研究者であったが、ここで出てくる「実験的犯罪学(Experimental criminology)」の正確な理解と、英米などの研究の実態につきケンブリッジ大学やオックスフォード大学の研究機関の概要の理解を試みたいというのが、本ブログをまとめた動機である。なお、わが国でこの種の犯罪学研究は法務省総合研究所であろうが、主要大学や関係学会のレポートをみても本格的な公表レポートは皆無である。

1.10月3日付けTechCrunch記事Police complaints drop 93 percent after deploying body cameras」の要旨

仮訳する。

警察部門が身体にカメラを使い始めたとき、ケンブリッジ大学等の研究は警官に対する告訴の大幅な低下をもたらすことを明らかにした。しかし、さらに驚いたことは、検証データによるとカメラが明らかに見えるかどうかにかかわらず、誰でも警察官は彼らのベストなふるまいに関していることを示唆するということであった。

この実証データは、英国6と米国1の合計7つの警察署で集められて、2014年と2015年で140万時間以上にわたり1,847人の警察官によって記録された。同研究者等は、9月下旬「刑事司法と行動(Criminal Justice and Behavior)」誌 においてそのデータを発表した。

警察官は、隔週ごとにカメラを装着するか、しない(およそ半分はいつでもカメラを装着している)につき無作為に割付けされるため、すべての犯罪遭遇にカメラを機能させなければならない。。この筆者は、大部分の警察の確立した実務であり、対応が容易であり、問題のある行動につきその発生頻度の向上させる場を与えるため、著者は測定基準として警察に対する苦情件数を使用した。

同研究の前年には、1,539件の苦情が警察官吏に対して全体で提出された。しかし、身体カメラ装填実験終了後の年は113件の苦情を数えるだけに減った。

2.実証実験論文の原本

(1) 犯罪学の専門雑誌「Criminal Justice and Behavior」DOI:10.1177/0093854816668218

標題は「伝播性の高い説明責任(Contagious Accountability)」

副題は「警察に対する市民の不満軽減にかかる警察官の装備カメラによる影響度を見るための世界的な多数の警察サイトの多数の無作為実証実験結果」である。

(2) 関係した研究者、英米の協力警察機関

*ケンブリッジ大学 実験結果に基づく犯罪学専攻(Experimental Criminology)の講師兼特別研究員であるバラク・アリエル(Barak Ariel)

*独立系シンクタンクでケンブリッジ・ネットワークの構成団体の1つであるRAND Europeアレックス・サザランド(Alex Sutherland) 

*英国ウェストミドランド警察(West Midlands Police)のダレン・ヘンストック(Darre Henstock)

*米国カリフォルニア州ヴァンチュラ警察(Ventura Police Department)のジョッシュ・ヤング(Josh Young)

*英国ウェストミドランド警察のポール・ドローバー(Paul Drover)

*英国ウェストヨークシャー警察(West Yorkshire Police)のジェイン・サイクス(Jayne Sykes)

*英国ケンブリッジシェヤー・コンスタビュラリィ警察組合(Cambridgeshire Constabulary )

のサイモン・メギックス(Simon Megicks)

北アイルランド警察(Police Service of Northern Ireland) のリアン・ヘンダーソン(Ryan Henderson)

(3)実験的犯罪学(Experimental Criminology)の定義

オックスフォード大学の図書目録が”Experimental Criminology”について詳しく論じている。「はじめに」の部分を仮訳する。

実験的犯罪学は、原因と結果につきコントロール下にある試験を含む研究方法の1分野である。オックスフォード大学は同研究につき、「実験的」および「準実験的」という2つの幅広く研究するクラスを2011年秋にスタートする計画である。

① 主題が処理群とコントロール(比較)グループに無作為に割付けされるならば、その研究(または評価)設計は「実験的(experimental)」といえる。

②主題が処理や制御条件ではなく原因と結果を研究するのに用いられるというむしろ無作為に割付けされるならば、その研究(または評価)設計は「準実験的(quasi- experimental)」である。

実験的犯罪学において、人々、場所、学校、刑務所、警察の巡回(police beats)または他の分析単位のサンプルは、ランダムまたは統計的なマッチングという2つのグループのうちの1つに典型的に割り当てられる。すなわち1つは新しい処置でまたは革新的で交互の干渉条件(コントロール下)におくというものである。

一組の「結果判定法(outcome measures)」(例えば犯罪率、自己申告の非行、混乱の知覚)の中の2つのグループの間において見られる観察されかつ計測的な違いは、処置や条件の違いに起因しているということができる。

実験的犯罪学の分野の飛躍的成長は1990年代に始まった。そして、21世紀に入り実験的犯罪学の研究分野を大幅に進めたいくつかの重要な機関・団体・出版社(例えばキャンベル・コラボレーション(Campbell Collaboration)実験的犯罪学大学(Academy of Experimental Criminology)、実験的犯罪学ジャーナル(Journal of Experimental Criminology)と米国犯罪学会の実験的犯罪学部(Division of Experimental Criminology within the American Society of Criminology)の設立に至った。

これらのイニシアティブ団体等は、犯罪の原因と結果について重要な質問に答えるべく実験(準実験的を含むランダム化されたフィールド実験とともに)と犯罪司法機関が犯罪の阻止やコントロールしうるかもしれないベストの方法の使用を広げた。

実験法の使用は、犯罪政策担当者のために確たる証拠ベースを造ることにとって非常に重要である。そして、いくつかの支援組織(Coalition for Evidence- Based Policyなど)は、科学的に厳格な研究(例えば無作為の対照比較化試験など)を使う自由が政策立案において関連した結果を改善することができるよう犯罪司法プログラムと実行方法を確認するため論議を重ねている。

(4) 米国のExperimental Criminology研究

2013年にRand Corporationの研究者が犯罪学専門誌「Journal of Experimental Criminology」に投稿した論文を米国Business newsが紹介している。その一部を抜粋引用する。

*シカゴ警察によるビッグデータ解析、銃器事件の予測には寄与しないことが判明

「シカゴ警察が2013年から開始したビッグデータ解析応用の試みは、実際の殺人事件の件数を減少させる面においては効果を発揮していないことがRand Corporationの研究者が犯罪学専門誌「Journal of Experimental Criminology」に投稿した論文により明らかとなった。

Rand CorporationのJessica Saundersを中心とする研究チームは、シカゴ警察によるビッグデータ解析のアルゴリズムを用いて、銃器犯罪のリスクが極めて高い人物のリスト(Strategic Subjects List:SSL)を生成。その上で、SSLリストに含まれている人と、そうでない一般グループの人を比較することで、実際にSSLが当該地域における銃器犯罪の加害者/被害者となる確率が高いかどうかを検証した。

この結果、SSLとそうでない一般グループの間には、銃器犯罪に関わる有意な差は存在しないことが判った。

研究チームでは、シカゴ警察が実際にビッグデータ解析をどのように現場に活かしているかは不明としながらも、SSLリストが現場に提供されることで、現場の警官は、SSLリストに掲載されている人物を真っ先に逮捕しようと考えてしまうことが、SSLリストとそうでないグループとの犯罪関与率を変わらないものにしてしまっているのではないかと考えている。」

3.ボデイカメラの機能や価格

筆者が独自に調べた。関係者に確認したものではないがほぼ正しいと考える。

メーカーはAXONで 1ユニットあたり399ドル(約41,000円)である。

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(筆者注1)米国のメデイアが2013年8月1日付け記事でカリフォルニア州リトアル警察とケンブリッジ大学のボデイカメラの効果につき共同研究の成果を紹介している。一部記事内容を仮訳する。

「結局、警察官の身体装着ビデオ・カメラがまさにあらゆるアメリカの警官のための標準的な器材になることは、かなりひろく受け入れられるようになった。

法執行官吏(警察官吏)の装着ビデオ・カメラは、警察官や警察に対するとるにたらない訴訟に対して虚偽の不満を減らすことができる。それが実力行使をほぼ60パーセント減らしたため、リアルト(カリフォルニア)警察/ケンブリッジ大学の共同研究は、さらにより深い影響を示した。ビデオ・カメラ存在は、警察内の意思疎通を向上させる一方で、すべての関係者の行動を改善させる。そして、警察の評価について正確にキャプチャ・ビデオにもとづき監督機関は事件を見直すことができて、何が本当であったかについて、確実の判断することができるのである。

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英国の65歳以上の高齢者の就業実態調査から見えてくる5つの事実と日英の高齢者就業比較等の意義

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英国の国家統計の中枢機関である「Office for National Statistics(ONS) 」が最近時に興味深い統計結果を公表した。「就業する65歳以上の高齢者の実態調擁立査から見えてくる5つの事実」である。10月1日の国連(UN)の「国際高齢者の日( International Day of the Older Person 」を記念して公表したものである。

 その最大のポイントは、1992年3月現在で男女平均で5.5%であった就業率が2016年5月~7月の調査では10.4%と約2倍になったと大きく取り上げている点である。

 この数字は、わが国の総務省統計局の調査結果と比較すると極めて重要な問題点が浮かび上がってくる。すなわち、欧米特にEU加盟国中では比較的に高齢者の就業率が高いとされるイギリスの例とわが国の比較は、これからのわが国の福祉制度の根本的見直しの好材料となろうし、働かざるを得ないわが国の高齢者の経済的貧しさの証左でもある。すなわち、わが国の高齢者の高い就業率は年金制度の貧困さの裏返しの問題でもある。労働政策、受給年齢の引き上げなど年金制度の破綻論の前提とすべき問題でもあるし、この分野の研究者や行政機関が無言なまま、あるいは放置していること自体、筆者としても信じがたい。(note1)

 すでに、わが国の経済力は右肩上がりでもないし、企業の国際競争力もはっきり低下しており、国家財政も破綻直前で2020年東京オリンピック以降は、「倒産国家」の仲間入りとなることは間違いない。

1.英国の高齢者雇用制度の改正経緯

2006年以降、2回にわたり大改正している。2011年JETROユーロトレンドの「2011年英国雇用法改正解説」から一部抜粋する。

(1) 2006年雇用平等(年齢)規則(The Employment Equality (Age) Regulations 2006)( 以下、「年齢規則」という。)は、平等取扱いに関するEU雇用枠組み指令の年齢に関する部分を実施するために導入された。年齢規則は、雇用における年齢差別に関係する指令の該当部分をイギリスの法律に取り入れている。年齢規則は新しい2010年平等法に組み込まれており、当該部分は2010年10月1日に施行される。

年齢規則の重要な特徴の一つは、65歳の原則的退職年齢の導入と、客観的に正当化ができない限り65歳未満の強制的退職の禁止であった。原則的退職年齢は年齢を理由にした平等取扱いの一般原則の例外である。したがって雇用主は65歳以上の被用者を、所定の退職手続に従えば、不公正解雇または年齢差別であるとみなされることなく強制的に退職させることができる。

(2) 2011年の退職法改正

65歳の原則的退職年齢による退職は2011年10月1日に完全に終了し、雇用主は新規の退職予定の予告を4月6日以降出すことができなくなる。

・(いかなる年齢であれ)退職による解雇は2011年10月1日以降もまだ許されるが、客観的に正当であることを証明できる場合に限る。

・2011年4月6日以前に予告され2011年10月1日以前に効力を生じる退職には移行措置が適用される。2011年4月6日前に予告されても10月1日以降に効力を生じる予定の退職は、(客観的に正当であることを証明できない限り)有効ではなくなる。退職による解雇に適用される現行の手続き要件は、年齢規則の別表6に定められているが、廃止されることになる。

2011年4月以降、労働者全体に強制的退職年齢を定めたい雇用主は、客観的に正当であることを証明できる場合にしか定めることはできなくなる。そのような雇用主はこの差別が「釣り合いが取れており」(‘proportionate’)で「正当な目的」(‘legitimate aim’)に寄与することを示さなければならない。強制的退職年齢は、雇用主にその措置に代わる合理的な代替案がない場合にのみ、釣り合いが取れたものとなる。

2.今回のONSの統計結果のポイント

(1) 高齢者の就業実態に関する記録が最初に収集された時から比較して、65歳以上の働く割合は約2倍になった。

2016年5月~7月までの間において65歳以上で就職している割合は人口の10.4% (1,190,000人)であった。2006年の同期間では、65歳以上で就職している割合は6.6% (609,000人)であった。

また、調査が最初に始まったときである1992年3月~5月の間では、5.5% (478,000人)だけが就業していた。

*英国の65歳以上の高齢者の1992年3月~5月の間の就業率からそれ以降の2016年5月~7月の間の就職率推移(図1)

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(2) 2016年5月~7月の間の英国の65歳以上の就業者数は男性742,000人、女性448,000人である。

ONSの労働力調査(Labour Force Survey)によれば、これは65歳以上で1992年3月~5月(記録調査が最初に始まったとき)の3か月間に就職していた男性301,000人と女性177,000人に同期間の調査データに匹敵する。

65歳以上の人々の就業率の向上に貢献している可能性がある主たる要因としては、前述のとおり従業員が65歳に達したら、雇い主は強制的に雇用を一度やめることを禁止する法律であり、同法は、2011年10月に実施された。

*多くの英国の65歳以上の男性(青線)と女性(赤線)は、1992年3月~5月から2016年5月~7月の間に英国内で就業率を引き上げている(図2)

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(3) パートタイムの自営業者は、パートタイムの従業員より高齢就業している傾向にある。

65歳以上のパートタイム自営業者の割合は、2001年の14%から2015年には22%まで引き上がった。

70歳以上の自営業のパート従業員の割合は、2001年はほぼ3分の1(39.68%)であったが、2015年には49.3%になった。

*2001年と2015年の間のパートタイムの従業員とパートタイムの自営業者の年齢分布(図3)

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(4) 年金制度など英国経済は、2039年までにますます高年齢労働者に依存するようになる。

英国の既存の雇用法の下で、公的年金受給資格年齢(State Pension Age :SPA)以降の受給者数は、2015年中頃の1,240万から2039年中頃までには1,650万まで、32.5%増加することが予測されている。

これは、2039年中頃までの25年間以内に公的年金の受給者数が1960年代『ベビーブーム』で生まれた人々のより高い数字を反映する結果である。

一方、同期間の間、生産年齢(16歳からSPAまでの年齢層)の人数は、2015年中頃の4,040万から2039年中頃までに4,460万まで10.3%上がると予測されている。

生産年齢1千人に対する年金受給資格のある年齢の人々の数の比率(老年従属人口指数:Old Age Dependency Ratio:OADR)は、1980年代から2006年頃までは300程度で安定していたが、ポスト第二次世界大戦ベビーブームで生まれる女性がSPAに達したので2007年から2009年にかけて引き上がった。

SPAの引き上げが行われない場合でも、2039年には英国のOADRは487に上がる。しかし、計画的なSPAの引き上げの結果、現在の法律のもとで2010~2046年に起こることとしては、 2039年の1,000人の生産年齢ごとにに対するSPA以降の高齢者数は370のレベルが維持されると予想する。

*英国のSPAの引き上げに有無の結果で見るOADR値の推移予想(図4)

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なお、OADRの増加は、生産年齢のより若い人々がSPA以上の高齢者のより大きい人口を支えるためにいわゆる逆三角形になることを意味する。

(参考)OADRの日英比較

ONSが使っているOADRの数字(370, 487)はわが国と比較するためIndexMundiの数値に置き換えて日英を比較した。その意味で正確性に欠く点はあろうが、傾向値を見るうえでは意味があると考える。

*英国のOADRの推移グラフIndexMundiデータから引用

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*日本のOADRの推移グラフ IndexMundiデータから引用

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この2つのグラフを見てまず感じる点は、1970年~2005年頃までがわが国の方が英国より低いすなわち1千人の生産年齢層からする高齢者の数は低かったが、2010年以降は急速に上昇傾向にある点である。換言すると「老年従属人口指数(65歳以上の人口に対する生産人口の比率)は2010年には40%を下回る水準であったものが2080年には90%近くまで上昇する。」ともいえる。

他方、英国はこれまではわが国に比してやや高かったがこの10年来の傾向はやや上昇傾向にはあるものの、日本に比して増加傾向は急ではない。英国においても高齢化は進んでいることはわが国と同様であるが、生産年齢層の員数も安定していることと考えられる。

SPAの引き上げが行われない場合でも、2039年には英国のOADRは487に上がる。しかし、計画的なSPAの引き上げの結果、現在の法律のもとで2010~2046年に起こることとしては、します、予想しますその – 2039年の1,000人の生産年齢ごとにに対するSPA以降の高齢者集は370のレベルが維持されると予想する。

OADRの増加は、生産年齢のより若い人々がSPA以上の高齢者のより大きい人口を支えるためにいわゆる逆三角形になることを意味する。

(5) 65歳以上の働く人々の世界は、生産年齢である16歳~64歳のそれらと類似している。

*2011年の英国の国勢調査において、各産業分野ごとの16歳から64歳以上の就労調査によると、英国内6つの産業分野でみると、ちょうど両方の年齢層の雇用は60%以上を占める。(図5)

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3.わが国の統計機関の公表の迅速性、縦割りでない経済や福祉政策の立案の必要性

英国ONSの統計結果は興味深いし、わが国でも同様の分析が期待したいところである。広く国民が知りうる一般的な景気動向調査は、GDP予測、日銀短観、有効求人倍率等であるが、これらはあくまで景気動向の予測調査で年金制度改革等福祉制度改革と直接に連結するものではない。

一部の専門家のみによる解析だけでなく、広く国民が理解できる内容をもって解説する場がメデイアも含めて必要であると考える。

一方、ONSの調査範囲だけでなく機能や公表の迅速性はわが国と比較してかなり進んでいる。わが国の総務省統計局も今回のONS統計とほぼ近い調査を行っているが、一番直近のデータは2014年である。この2年の差は大きい。

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(note1) 海外社会保障研究 Winter 2012 No. 181 丸谷 浩介「イギリスにおける年金支給開始年齢の引き上げと「定年制」の廃止」が問題点を丁寧に追っている。

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北朝鮮のTLDの「.kpドメイン」の流出事件と北朝鮮メデイアのプロパガンダ戦略から見えたもの

2016年9月19日、米国のIT専門メデイアTechcrunchから興味深いニュース「北朝鮮は、28と決して多くはないが、すべてのTLD(note1)の「.kpドメイン」(note2)を偶然にもうっかり漏らした」が届いた。

 このニュースは、同社の日本語サイト (note3)がリンクも含め原文に即して訳しており、筆者として改めて仮訳は行わない。しかし、そこで見えてきた北朝鮮のITの進捗度合いは、軍事面や核装備の先進的な取り組みに比して、極めて遅れた内容であることは間違いない。

 他方、国営メデイアや大手国営企業の動向は極めてITプロパガンダに満ち溢れた内容であった。さらに問題と思えるのは、北朝鮮の友好国の拡大およびIS等と同様の情報化戦略であるし、この問題に対するICANN (note4)(note4-2)等ドメイン管理国際機関の評価のあり方の問題でもある。

 筆者は、IPアドレスに関するわが国のICANNの窓口であるJPNIC (note5)の関係者であることから、改めてこの問題の根深さを感じた次第である。

 今回のブログは、そのうちで北朝鮮のTLD:.kpの個別サイトへのアクセスを実際に行って感じたことを解説を織り込みつつ述べる。

1.Techcrunchの記事

原文及び訳文を読まれたい。なお、今回取り上げる28のTLD一覧は、カリフォルニア州・サンフランシスコのコンピュータ・ネットワーク会社「Uber Engineering 」の技術者今回の漏洩事件をフォローしたマシュー・ブライアント(Matthew Bryant)がまとめたのもである。

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(1).kpドメインがついたURL企業等の検索結果

個別の説明する前に、以下の企業等のウェブサイトにアクセスする場合の留意点を簡単に述べておく。

①アクセス時間がやたらかかる。わが国の常識の10倍程度は見ておく必要がある。じっと我慢することが必要で、徳川家康の心境である。

また、PC自体の普及率はアジアの国の中でも後進国であろう。以下の”cooks.org.kp”の写真を見てほしい。北朝鮮のPCの個人保有率はいかほどか?

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② 時間をかけて最終的に閲覧できたサイト画面は焼き付けた。

③ 北朝鮮のサーバー・ウェブサイト一覧の解析を行っている”North Korea Tech org”の情報にもとづき補完した。同サイトは各企業等のサーバーが北朝鮮内かその他の国という観点から調査している。それで見ると今回ブライアント氏が調べた流出した.kpドメインを持つウェブサイトがすべてとは思えない。更なる専門的調査が必要であろう。なお、同orgの情報は 2014年7月17日最終更新でやや古いが、貴重な内容ではある。(note6) なお、同orgはHPで本漏洩事件についても言及している。

2.個別サイトの概要

会社・団体名等は公式なものではない。筆者の判断で訳した。

(1) 高麗航空の公式サイト(airkoryo.com.kp)

直接はアクセスできなかった。以下の中国の航空チケット購入サイトで予約は可能である。このサイトで見ると高麗航空の保有機数は40機と記されている。Wikipedia等一般的な解説と異なる。 %e4%b8%ad%e5%9b%bd%e6%97%85%e8%a1%8c%e3%83%81%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e4%bc%9a%e7%a4%be

(2) 朝鮮調理協会(cooks.org.kp) のレシピ集サイト %e8%aa%bf%e7%90%86%e3%83%ac%e3%82%b7%e3%83%94

(3) 対外文化交流委員会サイト(Committee for Cultural Relations with Foreign Countries)(friend.com.kp)

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 (4) ピョンヤン・ラジオ放送(gnu.rep.kp)

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 なお、同放送は日本を含め近隣国への当該国の言語の放送専門サイトである。

(5) 朝鮮社会科学協会サイト「チュチェ」(kass.org.kp)  (note7)  2%e7%84%a1%e9%a1%8c

 日本語版サイト

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(6) 朝鮮中央通信(Korea Central Agency)(kcna.kp)

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   朝鮮中央通信のウェブサイトの最近時の記事を見ておこう。同サイトは英語、中国語、スペイン語および日本語でほぼ同一で日々更新されていると思える。

(7) 朝鮮国際青少年旅行会社(kiyctc.com.kp) 

%e9%9d%92%e5%b0%91%e5%b9%b4%e6%97%85%e8%a1%8c%e4%bc%9a%e7%a4%be (8) 朝鮮人民保険会社(Korean People Total Insurance Company)(knic.com.kp)

会長挨拶、取締役会、組織等の説明がある。

%e6%b0%91%e6%97%8f%e4%bf%9d%e9%99%ba%e4%bc%9a%e7%a4%be

(9) 朝鮮教育基金(Korea Education Fund)(korelfund.org.kp)  %e6%95%99%e8%82%b2%e5%9f%ba%e9%87%91

(10)朝鮮高齢者医療基金(Korea Elderly Care Fund) (Korelcfund.org.kp)

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(11)平壌国際フィルム祭(Pyongang International Film Festival)(korfilm.co. kp)  %e6%9c%9d%e9%ae%ae%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%ab%e3%83%a0%e4%bc%9a%e7%a4%be

(12)国家海事監督局(Maritime Administration of Korea) (ma.gov.kp) 

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同局の機能については、国家海事監督局のHP開設のブログ記事「北朝鮮、「国家海事監督局」HP開設 (2015年5月26日 「聯合ニュース」)」を参照されたい。

英語版

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 (13) アクセス不可サイト(无法访问)(masikryong.com.kp)

(14) 我的国家、朝鮮国家コンピュータセンター(Naenara) (naenara.com.kp)

ネナラ(내나라、Naenara)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮コンピューターセンター(KCC)が2004年より運営しているポータルサイトである。「ネナラ」は朝鮮語で「我が国」の意味をもつ。「革命活動誌」と題した金正恩朝鮮労働党委員長の活動記録や国内のニュース、政府声明、政治体制・産業貿易・文化・観光地などの紹介が載せられている。またネットショップ「E-shop」も設置されている。 言語は朝鮮語をはじめ英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語・中国語・日本語・アラビア語の9言語に対応している。かつては「www.naenara.kp」のURLで運営されていたが、2011年以降は「www.naenara.com.kp」のURLでサービスが提供されている。 2012年4月現在のURLは「naenara.com.kp」(Wikipedia から一部抜粋)

(15) 朝鮮旅行局(Korea Turism)(nta.gov.kp) 

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  (16) アクセス不可サイト(无法访问) (portal .net.kp)

(17) アクセス不可サイト(无法访问)(rcc.net.kp)

(18) 朝鮮の声(Voice of Korea)(rep.kp) 

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 (19) アクセス不可サイト(无法访问)(repkp)

(20) 朝鮮労働新聞(rodong .rep.kp)

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(21) 金日成総合大学(Kim II Sung University)(ryongnamusan.ed.kp)%e9%87%91%e6%97%a5%e6%88%90%e7%b7%8f%e5%90%88%e5%a4%a7%e5%ad%a6

  (22) 朝鮮スポーツ(スポーツ専門サイト)(sdprk.org.kp) %e6%9c%9d%e9%ae%ae%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%84

 (23) アクセス不可サイト(无法访问)(silibank.net.kp)

以下の内容はあくまで筆者の推測である。

Silibankは中国の「實利銀行」である。北朝鮮の数少ないインターネット・ゲートウェイの1つである。2001年10月8日以降、インターネットのemail送受信、アクセスが北朝鮮内からsilkbank経由で可能となった。

実際、本文(11)で述べた国家海事監督局のemail アドレスを見ると「E-mail: mab@silibank.net.kp 」と表示されている。他方のゲートウェイとしては、(14)朝鮮旅行局の場合は「nta@star-co.net.kp」と表示されている。

このようなインターネット網だけ見ても、中国の北朝鮮との深いかかわりが伺える。

(24) アクセス不可サイト(无法访问) (star-co.net.kp)

(25) アクセス不可サイト(无法访问) (star-di.net.kp)

(26) アクセス不可サイト(无法访问) (star-co.net.kp)

(27) アクセス不可サイト(无法访问) (star-edu.kp)

(28)アクセス不可サイト(无法访问) (star.net.kp)

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 (note1) TLD(トップレベルドメイン)とは、インターネットドメイン名を構成する要素のうち、「.」(ピリオド、ドット)で区切られた最も右にある要素のこと。最も上位の階層における識別名を表しており、「www.example.com」の「com」の部分がこれにあたる。

ドメイン名は実世界の住所のように階層構造になっており、各階層の識別名を「.」で区切って並べて表記する。並び順は末尾(右)が最上位で先頭(左)が最下位であり、末尾の識別名のことをトップレベルドメインという。トップレベルドメインは大きく分けて、用途や組織種別などに応じて設置されたgTLD(generic TLD:汎用TLD)と、国・地域ごとに割り当てられたccTLD(country code TLD:国コードTLD)、歴史的経緯で残っている特殊なTLDに分類される。(IT用語辞典から一部抜粋)

(note2) .kpは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国別コードトップレベルドメイン (ccTLD) 。IANAの情報によると2007年9月24日にルートサーバに登録された。

登録時はDNSサーバーがドイツにあり、ホスト名は汎用JPドメインのようにサーバー名の直下に.kpが付く形を取っていたが、2010年後半に一度利用不可能になった。

その後、2011年初頭に北朝鮮政府がタイのLoxley Pacific社とStar JVを設立、再度利用可能になった。この際、新たにセカンドレベルドメインを制定、.com.kpや.edu.kpといったドメイン構成に刷新している。(Wikipediaの解説から引用)。

また、この件で2011年1月18日付けAFP通信(日本語版)は「北朝鮮のkpドメインが復活、オンライン進出再開か」と報じている。同記事において「朝鮮コンピュータセンター(Korea Computer Center:Naenara)」、「対外文化交流委員会サイト」、「朝鮮中央通信」,などサイトがオンラインになったことや、同時に、北朝鮮が「ツイッター」や「YouTube」の公式アカウントを開設した」旨報じている。

(note3) Techcrunchは中国語版もある。内容は、英語版や日本語版とまったく同一である。英字標記、URL表示とリンクが可能となっている。本ブログの.kpドメインの訳語を記載する上で参考とした。このリンク時のアクセススピードは心なしか早い気がする。

なお、「朝鮮の声」(9カ国語)をアクセス不可サイト(无法访问)としているがこれは誤りであり、アクセス可である。

(note4) ICANN組織の解説(JPNICサイトより抜粋)

ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、インターネットの各種資源を全世界的に調整することを目的として、 1998年10月に設立された民間の非営利法人です。 (本拠地は米国カリフォルニア州ロサンゼルス)

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(note4-2)米国政府がこれまで重要視してきたインターネットの重要資源(IPアドレス・ドメイン名・プロトコル番号)の監督権限を放棄した旨のニュースがJPNICから届いた。詳しくはJPNICのニュース文や10月3日に発刊されるメールマガジン臨時号を参照されたい。以下、要旨等を抜粋する。

今後は、特定の政府でないマルチステークホルダー体制すなわちICANNに代わりIANA機能(「Internet Assigned Numbers Authority」の略。南カリフォルニア大学情報科学研究所(ISI)のJon Postel教授が中心となって始めたプロジェクトグループで、ドメイン名、IPアドレス、プロトコル番号など、インターネット資源のグローバルな管理を 行っていました。2000年2月には、ICANN、南カリフォルニア大学、およびアメリカ政府の三者の合意により、IANAが行っていた各種資源のグロー バルな管理の役割はICANNに引き継がれることになりました。現在IANAは、ICANNにおける資源管理、調整機能の名称として使われています。)を運営する組織「Public Technical Identifiers(PTI)」を設立、PTIはICANNの子会社として運用委託を受けることになる。またPTIの設立により「ドメイン名に関するポリシー政策の場であるICANN」と「IANA機能の運用組織(従来はICANN)」が別組織となることで、ドメイン名に関するポリシー策定と運用の独立性が保たれるなどが指摘されている。

さらに、IANAに関する知的財産権は、ICANNからIANA機能運営者とは独立したIETF Trustに移転することになる。

(note5)一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターの役割、ICANN等とのかかわり解説

(note6) 英国に本部をおく国際ドメイン管理会社Nominate comの北朝鮮内でのドメイン登録費用の解説サイトを見ると年間32900円である。

(note7) 北朝鮮の政治は,主体思想(チュチェ思想:北朝鮮憲法では「人間中心の世界観であり人民大衆の自主性を実現するための革命思想」(第3条)と規定)及び先軍思想を基礎とし,朝鮮労働党の指導の下にすべての活動を行う(第11条)とされている。(外務省: 北朝鮮基礎データ)から一部抜粋。

Last update :October 1,2016

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GAOが連邦司法省に対し「情報公開法」訴訟費用の採算性分析を踏まえた原告勝訴の解明等につき勧告

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本ブログでしばしば引用してきた米国連邦議会の連邦機関の”Watchdog”である「行政監査局(GAO)」が、このほど米国の「連邦情報公開法(FOIA)」 (筆者注1) に基づく訴訟事案について、その採算性の分析結果等透明性を向上するよう連邦司法省に勧告した旨の報告書「Freedom of Information Act: Litigation Costs For Justice and Agencies Could Not Be Fully Determined」を公表した。

筆者は、その内容に関心を持ったほかに、わが国の「情報公開法」(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年5月14日法律第42号)等の運用実態との比較を行ったらどうなるかという点に興味を持った。さらに、わが国の見直しはどうなっているのか、どのような人々によりどのような議論が行われているのか等を調べてみた。

今回のブログは、はじめに(1)GAO報告の概要を紹介し、あわせて(2)米国の主要連邦機関の情報公開法遵守体制を概観し、次に(3)わが国の「情報公開法」の運用実態ならびにそこから導かれる課題等を論じてみる。

特に、米国の連邦機関とりわけFBIやDOD等機密性の極めて高い保有管理する公文書に当たるデータ量の圧倒的なボリュームと国民のそれらへのアクセス可能とする長期的な視野に入れた検討と取り組みがあってこそ、今日の米国のアーカイブ・システムがあるように思う。わが国のアーカイブ分野の重要な検討課題といえる。

なお、最後に詳しく論じたいが、総務省の「情報公開法の制度運用に関する検討会」の審議内容や資料を確認しようとすると、国立国会図書館のWABP(国立国会図書館:インターネット資料収集保存事業)サイト(筆者注2)に飛ぶ。その画面に該当検討会のURLをコピー・アンド・ペーストすれば原資料に行き着くはずであった。筆者は実際やってみたが、「ただ今混み合っております。時間をおいて再度お試しください」のメッセージが帰ってきたのみである。土曜の昼である。この時間帯に込み合っているようでは平日であれば、いつになったら確認できるのか。まさにわが国の情報公開法の基本機能が欠落しているとしか言いようがない。

さらに問題と思えるのは、なぜ行政機関の古くなった(かただか12年で古いとは思えないが)データの保存がなぜ「国立公文書館」(筆者注3)でなく「国立国会図書館」なのか、その本来の機能や法的に見ても大いに疑問が湧く。この問題は別途取りまとめたい。

1.GAO Reportの概要

GAO報告の本文全文は35頁である。ハイライト版(1頁)をもとに仮訳する。

(1)GAOがこの調査を行った理由

米国の「連邦情報公開法(以下「FOIA)という)」(筆者注4) は、連邦機関に対し広く市民に政府情報へのアクセスを提供することを要求する。そして、毎年、各連邦機関はそのアクセス情報を公表する。それにもかかわらず、多くのFOIAに基づく要求は拒否または時宜を得た対応は行われていない。連邦機関が法令の期間以内に要請に応じないならば、FOIAは依頼人が訴訟することを認める。過去10年間、2006年(下記グラフ参照)以降起こされた訴訟の57パーセントの増加で、司法省は連邦機関に対して起こされた3,350件のFOIA訴訟を報告した。(図参照)

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(GAO report から引用)

GAOは、連邦機関が原告が十分に勝訴した訴訟に要するFOIA訴訟関連の経費を決定するよう求めた。そのためGAOは、2009年から2014年まで決定されたFOIA関連の訴訟に関する司法省のデータを見直すとともに、28の連邦機関全体でみて、原告が大幅に勝訴した112件の訴訟事件内容を確認した。また、GAOは司法省および連邦機関からコスト・データを見直し、これらのデータの有効性と信頼性を議論するために、各機関の担当官と面談した。

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(GAO reportから引用)

(2) GAOの司法省への勧告内容

もし、連邦議会がFOIA訴訟費用の報告の透明性がシステムとプロセスを開発するために増加する経費を上回ると決定するならば、原告が勝った訴訟を擁護するとき、それは原価見積りを要する経費に関する情報を集め、かつ報告するために提供することを司法省に要求することを考えることができる。本レポートの草案についてGAOがコメントする際、連邦司法省は、良いFOIA管理を成し遂げることが、さらなる報告の費用と利益のバランスをとる必要性につきGAOの認識に感謝すると述べた。

(3) GAOが調査結果を踏まえ明らかにした結果

2009年~2014年に下された決定による1,672件の「情報公開法(FOIA)訴訟」のうち、GAOは原告が大幅に勝った112件の訴訟内容を確認した。これらの112の訴訟のための訴訟関連の経費は、完全には決定することはできなかった。そのような訴訟と関連した経費とは、1)当該連邦機関にかわり司法省により算定される額、2)個別の連邦機関が計算する訴訟費用、3)原告の弁護士に与えられる和解協定に基づいて裁判所が調査する弁護士費用と諸費用を含む。

112件の訴訟のうち、司法省は、合計で約97,000ドル(約980万円)になる8つの訴訟の弁護にかかる経費に関する情報を提供した。司法省当局は、同省は原告が実質的には勝った個別の訴訟に関し特に経費の内容を追跡しないし、そしてその弁護士が個々の訴訟のためにそのような経費を追跡することは要求されないと述べた。

個々の連邦機関に関し、GAOの研究では28件のうちの17件は、それらは112件の選ばれた訴訟のうちの57に関するコスト情報を適所に提供することができたシステムまたはプロセスを可能とした。この情報によると、連邦機関は2009年会計年度から2014年会計年度の間に、これらの訴訟のためにFOIA訴訟関連の経費でおよそ130万ドル(約1億3,130万円)を負担した。残りの連邦機関には、原告が勝ったFOIA訴訟関連の経費を追跡するためのメカニズムがなかった。これらの連邦機関は、司法省のガイダンスが特定の訴訟に関連した経費を徴収して、報告することを機関に要求しないので、または、もし原告が訴訟の結果として勝つならば、経費を追跡しなかったと述べた。

FOIAによって必要とされるように、司法省は毎年すべての訴訟(原告への弁護士費用および仲裁経費を含む)の結果を報告した。しかし、112件の選ばれた訴訟のうちの11件に関し、司法省は、それを与えられる弁護士の費用および経費の額が被告たる連邦機関によって報告される総計額と異なると報告した。司法省によると、弁護士の費用および仲裁経費の差は、各連邦機関と原告の間で控訴手続きと和解合意によるとされた。

実際のコスト情報を報告することを司法省および連邦機関に要求することが連邦活動に関してより良い透明度に至ることができたが、経費はそのような報告と関係する。これらの経費(潜在的利益だけでなく)を考慮することは、FOIA訴訟関連の活動の監視を強化するためにそのような要求が費用対効果が良いといえるかどうかを決定する際に、連邦議会を支援することにつながる。

2.連邦のFOIA専門サイトの最新情報ならびに主要連邦機関の情報公開法への対応

 (1) 米国の各連邦機関のFOIAに関する統括機関

連邦司法省(DOJ)である。FOIA専門の解説サイトを準備している。

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(2) 主要連邦機関の情報公開法への対応

 DOJ以外の連邦機関のFOIAに関するガイダンスや現下の取り組み課題の解説文を仮訳しておく。

① 国務省のFOIA問題対応サイト

② 連邦司法省のFOIA専門サイト

 連邦機関の総括機能を持っており、その内容は最も具体的で詳しい。

③ 消費者金融保護局(CFPB)の苦情受付専門サイト

消費者金融保護庁の消費者の苦情データベースは、2012年6月にクレジットカード関する苦情受付から稼動を開始した。以降、CFPBが扱う問題(例えば債権回収、学生ローンや不動産抵当)によって取り扱われる他の製品・サービスに関して消費者の苦情を受け付けるべく拡大されてきた。同データベースの発足の一年後に、データベースは回転原則にもとづさらなるデータを加えて、176,000以上の登録件数を含んだ。また、同データベースは、市民により製品タイプ別に視覚に訴えたり、ソートしたりダウンロードすることができるようになった。

 農務省の食品安全検査局( Food Safety Inspection Service)

食品安全検査局は、食中毒の危険性を減らすための対する実用的な手順を詳述しているYouTube上で、一連の公共的な内容の発表ビデオを公開した。 「あなたの手順をチェックしてください」シリーズが、4つの安全な食品の取り扱い手順を例示するーすなわち、①きれいに洗い、②分けて、③調理して、④冷やす – 食中毒問題の重要性に気づきをもたらして、個人が食中毒危険を理解することを支援するものである。

⑤ 「2012年連邦航空局(FAA)の現代化および改正法(Federal Aviation Administration (FAA) Modernization and Reform Act of 2012)」 (2012年2月14日にオバマ大統領により署名された)は、米連邦法典の第18編を改正した。それにより、航空機にレーザーポインターを向けることを連邦犯罪(federal crime) (筆者注5)とした。FAAはそのような事件のために専用のプログラム・ページを作成し、法執行行動に関連した出来事ならびにリリースに関して最新ニュースを提供した。また同ページは、市民がレーザー事件を報告する能力を持つべき点とともに、レーザーによるリスクと影響に係る情報を持っている。

⑥ U.S.NRC 原子力規制委員会

原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission:NRC)は、新しい文書により機関の公式記録システム委員会全体にわたる文書へのアクセスと管理システム(ADAMS)を更新し続けている。同システムは、一般人がアクセスできる2つの記録文書システム(Publicly Available Records System (PARS) LibraryPublic Legacy Library)を提供する。

毎日何百もの新しい文書を加えて、PARS図書館は、1999年の末からNRCによって公表された730,000以上のフルテキストの文書を現在含む。 Public Legacy Libraryは、1980年代にさかのぼっている文書のために、200万以上の書誌的引用を含む。 ADAMSインターフェースは、これらの図書館のフルテキスト検索と文書ダウンロードを実行するために、市民に検索エンジンを提供する。

連邦捜査局(FBI) 

連邦捜査局(FBI)は、ジョー・パターノ(Joe Paterno:フットボール指導者)、レイ・ブラッドベリー(Ray Bradbury:小説家)、ロバート・バード(Robert Byrd)・合衆国連邦議会上院議員とチャーリー・ウィルソン(Charlie Wilson)下院議員のFBI記録を電子記録図書館(保管室)に加えた。 FBIファイルは、彼らに対する脅威の捜査と個人自身へのFBIによる調査を含むこれらの数字に関して、広範囲にわたる材料をカバーしている。現在利用できる何千もの文書でもって、1955年(バード上院議員の記録でみると)1955年から1990年代の間で記録したこれらのファイルは、これらの個人の生命ならびにFBIの自身の歴史のスナップショットに対する価値ある洞察データを提供する。

⑧ アメリカ航空宇宙局(NASA)

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、新しい全天赤外線の地図帳とカタログを公開した。そして、14年以上前始まったプロジェクトを締めくくった。広域赤外線探査衛星(Wide-field Infrared Survey Explorer :WISE)(筆者注6)を使用して、天文学者は、ほぼ5億の物(例えば我々の宇宙を作る惑星、星や銀河)のイメージをとらえることができた。NASAはWISEプロジェクトによって撮られる個々の画像を結合して、彼らを18,000のイメージに入れた。そして、それは現在、市民が一般的に利用できる。全ての地図帳は、現在まで我々の宇宙の最も鮮明なイメージの1つを代表する。

⑨ 国立公文書館(National Archives and Records Administration:NARA)

国立公文書館(National Archives and Records Administration:NARA)は、ケネディ大統領、ジョンソンおよびニクソンの大統領図書館(Presidential Libraries) (筆者注7)とともに、「国防長官のベトナム機動部隊局の報告(“Report of the Office of the Secretary of Defense Vietnam Task Force,”)」というタイトルで、「ペンタゴン・ペーパー(“Pentagon Papers.”)」として非公式に知られている完全なレポートを公表した。当初1967年に国防長官ロバート・マクナマラによって命ぜられ、レポートの一部は、1971年にプレスにリークされて、広く報告し、配布された。同レポートの公式な公開は、プレスにこのリークの40回目の記念日と時期が同じであるとともに、7,000の非編集化されて機密扱いが解かれたページを含む。レポートの他の版とは異なり、この公式リリースは、編集(それが当初、1969年1月15日にあったちょうどその時に国防長官クラーク・クリフォードに出された重要な新情報と背景となるドキュメンテーションを含む)なしで、現在利用できる。

⑩ 連邦捜査局(FBI)

連邦捜査局(FBI)は、「金庫室(Vault)」という名前の約6,700の文書や他のメデイアを含む新しい電子記録ライブラリーを稼動開始した。この金庫室は、紙からデジタルコピーされた2,000以上の文書(市民に発表されてはいたが、FBIウェブサイトにこれまで加えられなかった25以上の新しいファイルを含む)を含む。以前はFBIサイトに掲示されるが、要請を受けてFBIの以前の電子記録・ライブラリからのファイル削除される何十もの記録は減少した。また、金庫室自体、読者の使い勝手(ファイルの範囲内で話題またはキーワードによって記録を検索する能力を含む)を良くするのためのいくつかの新しい道具と資源を含む。すなわち、そして市民はオープンなソース文書閲覧ソフトや、記録を金庫室内で見るために彼ら自身のファイル・ソフトウェアを必要としなくなった。

3.わが国の情報公開法や同施行令等行政機関等が保有する情報の公開に関する関係法令とその運用の実態

具体的に見ると「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年5月14日法律第42号)、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令」(平成12年2月16日政令第41号)「公文書等の管理に関する法律」(平成21年7月1日法律第66号)「公文書等の管理に関する法律施行令」(平成22年12月22日政令第250号)「行政文書の管理に関するガイドライン」(平成23年4月1日内閣総理大臣決定) 等がある。

これらの全体像は、総務省の解説サイト「情報公開制度の法律の概要や公文書等の管理に関する法律等関係法令、ガイドライン」を参照されたい。

(1)「情報公開法の制度運営に関する検討会」の検討状況

総務省は、法施行後4年を迎え、平成16年(2004)4月27日~平成17年3月18日までの間、有識者(筆者注8)による計12回検討会を開催し、その結果は平成17年3月29日に報告書として公表された。

ただし、前述の理由から、その検討内容については筆者は現時点で一切確認できない。

(2)わが国の情報公開法に基づく「審査会」の審議状況及び「訴訟」の実態

平成26年度の実績報告を総務省の報告「平成26年度における行政機関情報公開法の施行の状況について 」9/10⑦を見ておく。13頁以下「3.不服申立ての件数と処理の状況」から以下のとおり抜粋する。

(a)不服申立ての件数

ア 開示決定等について不服がある者は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づき、行政機関の長(法第17条の規定に基づき権限の委任を受けた行政機関の職員を除く。)に対し、審査請求又は異議申立てをすることができる。

平成26年度には、表13のとおり、1,203件の不服申立てが行われており、25年度と比べて増加している。 ・・・

(b)裁決・決定等の状況

ア 平成26年度に処理済みとされた1,306件についてみると、表16のとおり、審査会に諮問し、答申を受けて裁決・決定を行ったものが635件、審査会に諮問しないで裁決・決定等を行ったもの(不服申立てが不適法であること等により審査会に諮問する必要がないもの)が671件となっている。

裁決・決定等の内訳をみると、不服申立てに理由がないとして棄却したものが432件(33.1%)、不服申立てに理由があるとして開示決定等の全部又は一部の取消し又は変更をしたもの(申立ての認容又は一部認容)が計218件(16.7%)

、不服申立てが不適法であるとして却下したものが637件(48.8%)となっている。 ・・・・」

4.わが国の情報公開に関する訴訟の状況

前述3.(2)の総務省の報告から抜粋する。

「開示決定等の取消し等を求める訴訟についてみると、表20のとおり、平成26年度に新たに9件が地方裁判所に提起されている。この9件及び前年度から係属している18件の計27件のうち、平成26年度には、9件の判決が出されている。

また、高等裁判所には、地方裁判所(第一審)の判決を不服として9件の控訴事件(前年度から係属している4件を含む。)が係属し、そのうち5件について判決が出されている。

さらに、高等裁判所(控訴審)の判決を不服として最高裁判所に上告又は上告受理の申立てを行ったものが5件(前年度から係属している3件を含む。)あり、そのうち3件について判決が出されている。

なお、平成26年度に新規提訴された9件のうち6件は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第12条第4項の規定に基づいて特定管轄裁判所に提訴されたものである。」

5.日米の制度比較を踏まえた検討課題

前述したように、訴訟件数は大きく異なり、制度の利用実態から見て単純な日米比較は難しかろう。

しかし、問題の本質は件数だけではないはずである。情報公開制度により不利益を被る国民=納税者が行政のプレスリリースや勉強不足のメデイアの情報に頼らない政治への直接的な関心と行動が最も重要な制度改革論の視点であろう。

わが国では情報公開法が平成13年(2001)4月1日施行されて3年後に「情報公開法の制度運用に関する検討会」が計12回開催された。

その最も重要な結論部分が見えない中で具体的な問題指摘はむずかしいが、筆者なりの感じた点を以下あげる。

(1)市民活動の重要性

納税者の視点、税金・予算の無駄への対策

米国の例で見て見よう。2003年8月財団法人自治体国際化協会「米国における情報公開制度の現状」(ニューヨーク事務所)から一部抜粋する。

「米国の例でみても政府情報に対する国民のアクセスは、FOIAの成立により計り知れないほど向上した。特に、ジャーナリストや学者がFOIAを利用して入手した資料で明らかとなった事実により、歴史的事実等が変更されることもあった。また、健康及び治安などの社会問題に関連して、FOIAを使って出生・死亡・結婚等の情報が公表されてきた。

FOIAによる公開請求により明らかにされた情報の例は、以下のとおりである。

・小型機の安全性・政府による浪費的支出・全米で最も危険な就業場所(職場環境が原因でがんや心臓病その他の病気にかかる危険性が増大した状況に直面した約25万人の労働者に関する情報等)・90年代初めの放射線実験の乱用・多くの軍人を死傷させた政府支給の夜間用ゴーグル。GAO報告でも指摘されているとおり、・・・・」

(2)わが国のNPOなどによる公開請求の取り組み団体例

情報公開の真正面から取り組んでいるとされるNPO等は数少ない。総務省があげているもののほか、現時点で活動している団体名を挙げておく。

① 「情報公開市民センター」 名古屋:内閣府NPO団体中情報公開法で検索結果

② 情報公開クリアリングハウス

③ 特定非営利活動法人行政監視機構 内閣府NPO団体中情報公開法で検索結果

④ 全国市民オンブズマン連絡会議)

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(筆者注1) わが国でもFOIAに関する解説記事は多い。その中で国立国会図書館のカレントアウェアネスは2012年10月20日付けで「米国国立公文書館等、FOIAに基づく情報公開要求の提出からアクセスまでの手続きを行える”FOIAonline”を公開」を紹介している。

「2012年10月1日、米国国立公文書館(NARA)と米国環境保護庁、米国商務省とともに開発した、連邦情報公開法(FOIA)に基づく情報開示請求オンラインシステム“FOIAonkine”を公開しました。開示要求の提出やその後の処理状況の確認、他の開示要求の検索や開示情報へのアクセス等が可能とのことです。」

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DOJサイトの情報公開請求対象の連邦機関や件数の推移グラフ

(筆者注2) 検討会に関する資料はすべて国立国会図書館サイトに移管されており、WARPに飛ぶしかない。このようなアーカイブ資料が米国の連邦公文書館等別保管されるケースは欧米でもあることにはあるが、今回の場合わずか12年前の資料である。

(筆者注3) 「国立公文書館は昭和46年(1971)7月に国立公文書館が設置された。昭和62年(1987)制定された公文書館法と、平成11年(1999)に制定された国立公文書館法の規定により、国立公文書館は、その設置根拠と責務などについて法律上の責任を果たすことになりました。すなわち、国の各機関が所蔵している公文書などの保存と利用(閲覧・展示など)に関する責務を果たす施設として位置付けられ、国民の共通の財産である公文書を後世に継続して伝えるという重要な役割を担うこととなりました。平成13年(2001)4月に国の行政改革の一環として独立行政法人国立公文書館となりました。」

(国立公文書館の「業務概要」から一部抜粋)

また、「国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号))」9/10(33)は次にとおり定める。

・・・

(業務の範囲)

第11条   国立公文書館は、第四条の目的を達成するため、次の業務を行う。

一   特定歴史公文書等を保存し、及び一般の利用に供すること。

二   行政機関(公文書等の管理に関する法律第二条第一項 に規定する行政機関をいう。以下同じ。)からの委託を受けて、行政文書(同法第五条第五項 の規定により移管の措置をとるべきことが定められているものに限る。)の保存を行うこと。

(以下、略す)

これを読んでも第二号が情報公開法の制定とリンクされていることはいうまでもないし、東京大学大学院 教授 宇賀 克也「日本における公文書管理法の制定と今後の課題」(2012年2月)が国立公文書館法の改正経緯等詳しく解説している。これを読んでも、その情報公開法との関連性が一番のポイントであることはいうまでもない。

(筆者注4) 米国の「連邦情報公開法(以下「FOIA)という)」の解説は、わが国においても数は比較的に多い。実際の利用方法に即した解説は、国立公文書館の資料 74頁以下「3. アメリカにおける資料の公開と利用」等が参考となる。ただし、わが国の解説資料は国立国会図書館のカレントアウェアネス以外は、最新情報は期待できない。

(筆者注5) 「連邦犯罪」とは、アメリカ合衆国の連邦憲法上,刑事裁判権が連邦に留保されている犯罪のことをいい,具体的には,州際通商に従事する航空機の損壊,州際誘拐,窃盗自動車州際移送,連邦公務員汚職,連邦銀行強盗,麻薬犯罪および通貨,郵政,関税,破産などに関する犯罪がこれにあたる。 (ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典から抜粋)

(筆者注6) 広域赤外線探査衛星(WISE:Wide-field Infrared Survey Explorer)は、2009年12月14日に打ち上げられた、アメリカ航空宇宙局の予算で開発された赤外線天文衛星である。口径40cmの赤外線望遠鏡を備え、3 – 25μmの波長で全天を10か月以上観測する。IRAS、COBE等、以前の同様の機器よりも少なくとも1000倍の感度を持つように設計されている。(Wikipedia から引用)

(筆者注7) 2010年12月、「アメリカンセンターJapan」 「大統領図書館法と大統領図書館の設立」と題する連邦議会調査局(Congressional Research Service)がまとめた報告の翻訳を行っている。

(筆者注8) 筆者がこだわるのは、わが国の政府発言や審議会でよく出てくる「有識者」という文言である。英米圏ではこれは”experts”が一般である。特定の一部専門家が「有識者」の名のもとに政府系の各委員会の委員としてよく出てくるが、決して斬新な意見は述べない。その個別氏名はあえて記さないでおく。

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英国・法改革委員会「役所の職権濫用行為」検討プロジェクトの第二次諮問書とわが国の現状から見た課題

 英国の「法改革委員会(Law Commission)」9/6(25) (note1)は、2016年初めに行った最初の意見諮問に続き、2016年9月5日に第2段となる「諮問書(REFORMING MISCONDUCT IN PUBLIC OFFICE :A Consultation Paper )」(No.229:全224頁)9/6⑤を公表した。その諮問期限は、2016年11月28日まで実施される。

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2016年9月5日に本委員会は、法改革のための選択肢を含む諮問書の公表をもって諮問手続きの第2段階を開始した。最終報告書は、2017年中に公表する予定である。

 筆者が、この問題を取り上げた背景は、わが国でも同様の問題が大分県警のビデオ監視カメラ捜査事件で起きたからである。わが国では刑法193条で「公務員職権濫用罪」(note2)、同194条で「特別公務員職権濫用罪」(note3)が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条(note4)、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条(note5)、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条(note6)があげられる。

 特に大分県警事件は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に抵触するだけでなく、刑法194条にも関わる問題であろう。(note7)

 法改革委員会の諮問書にも明記されている通り、役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

 その意味で、この問題についての英国の取り組みの解析は、わが国においても他山の石とすべき問題と考える。

1.法改革委員会の役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)の刑法上の検討の経緯

(1)初回の諮問等をめぐる経緯

「役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)に関する諮問文書1」

役所の職権濫用行為にかかる現行刑法の問題に関する検討の背景理由書面、すなわち代替犯罪(alternative offences) としてのギャップと重複問題と同様に、不確実性の領域で発生する問題を強調的に表示した。

本委員会は、著名なスピーカーと論議を行うシンポジュームとともに、2016年1月20日に「諮問文書1(Misconduct in Public Office: Issues Paper 1)」9/6⑨を発刊し、この問題の諮問フェーズを立ち上げた(我々は、その日からツィッターで内容を公開している)。この段階では、現在の法律とその問題点に焦点を当てた。同諮問文書とシンポジウムの目的は、特定の問題に基づいた議論を刺激するための機会を我々に提供し、同犯罪を実際扱う実務家や専門家と交流の場とするものである。

(2)本委員会のプロジェクト目的

本委員会の法改革の目標は、役所の職権濫用行為にかかる既存の犯罪を廃止、維持、修正再規定または改正する必要があるか否かの決定と、さらに改革のために何らかの手法を追求する点にある。

役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

(3)犯罪の定義とその問題点(The offence and its problems)

「役所の職権濫用」は、コモンロー(note8)上の犯罪であり、いかなる制定法にも定められていない。一方、その最高刑は終身拘禁刑(life imprisonment)である。その犯罪行為とは、公務員が公務員(office holder)に対する国民の信頼の濫用した程度において,合理的な釈明や正当化事由なし(without reasonable excuse or justification.)に、故意に自身の義務を怠りかつ/または故意に職権を濫用したことをいう。

歴史的に見て、公務員の違法行為を犯罪として考慮する他の適切な方法がなかった。今日、このような不正行為は一般に別の狭義でかつ明確に定義された刑事犯罪(criminal offence)に該当しよう。

この犯罪は、定義が曖昧で広く考えられており、また政府、控訴裁判所、メデイアや法学者によって最近批判の対象とされている。

社会統計では、有罪につながるそれらの告発が極めて少ない一方で、多くの人々は役所の職権濫用は起訴されるべきという点を示唆している。その1 つの可能な理由は、犯罪の明確な定義のない判決のつ言い渡しは困難であることである。

本委員会は、いくつかのこの問題にかかる「犯罪の定義」問題を、以下のとおり明確化した。

①「役所(Public office)」は、明確な定義を欠いているが、なお犯罪の重要な要素である。この曖昧さは、その犯罪の解釈・適用に重大な困難をもたらす。

②公職権者であるための義務の類型が十分に定義されていない。これらの特定の義務の違反を証明するために不可欠であるかどうかも、判例法上不明確である。

③「国民の信頼の濫用(abuse of the public trust)」が、この犯罪の成立判断の「しきい値要素」として重要な点である一方で、内容が曖昧で、捜査官(investigators)、検察官(prosecutors)、陪審員(juries)に適用するのが困難である。

④犯罪を証明する必要な「違反の要素(fault element)」は、状況によって異なる。これらは、一般的でなく、無節操(unprincipled)な立場にある。

⑤「合理的な釈明や正当化事由がなく(without reasonable excuse or justification)」が犯罪の要素として明らかであったとしても、それは自立した防御または定義された要素として機能するかどうかは不明である。

(4)今回の諮問にかかる関連文書の一覧を添付する。なお、筆者の責任でリンクを貼った。

【添付文書】

① Reforming Misconduct in Public Office consultation PDF, 1MB (全224頁)

② Reforming Misconduct in Public Office consultation summary PDF, 164kB (全19頁)

Diwygio Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus Crynodeb PDF, 188kB (全20頁) 

④ Reforming Misconduct in Public Office Appendix PDF, 110kB (全10頁)

⑤ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1 PDF, 748kB 

⑥ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Summary (English) PDF, 182kB

⑦ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Materion Papur 1 – Y Gyfraithbresennol PDF, 168kB (全18頁)

⑧ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Overview (English) PDF, 69kB (全2頁)

Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Papur Materion 1 – Y Gyfraith Ar Hyn O Bryd Trosolwg PDF, 72kB (全3頁)

Appendix A – History of the Offence of Misconduct in Public Office PDF, 260kB

Appendix B – Misfeasance in Public Office (A Paper by Mark Aronson) PDF, 225kB

Appendix C – Misconduct in Public Office and the ECHR PDF, 170kB

Appendix D – Spreadsheets relating to Misconduct in Public Office PDF, 164kB

Appendix E – Previous Reform Proposals PDF, 146kB

Appendix F – International Comparisons PDF, 260kB

(5)代替犯罪(alternative offense)にかかる起訴以外による陪審評決( Alternative verdicts )の意義

英国内の資料を調べてみたが、これといった資料は見当たらなかった。以下の内容につき、自信はないが、参考までにまとめてみた。

「1967年刑法(Criminal Law Act 1977)」の第6条(3)項(note9)に従い、陪審は以下の場合、起訴に関して被告を代替犯罪(alternative offense)として有罪であるとする判決を下しうる。

①被告は、反逆罪(treason)または殺人罪(Murder)以外のいかなる犯罪に関する起訴に関して裁判にかけられうる。;

②陪審は、被告に対し起訴に基づく有罪であるとする評決は下さない。

③明白または暗に刑事法院(Crown Court) (note10) の管轄権に入るかまたは別の犯罪の起訴の申し立てによる。

略式起訴犯罪(刑法第40条の略式起訴犯罪(summary offense)が当てはまる)は、この定義に入るし、刑事裁判所によって判決を下されるかもしれない。同裁判所は、治安判事裁判所(magistrates court)の宣告権限に制約される。

実際に身体の傷害を引き起こす損傷(wounding)、暴行(assault)や身体の傷害を引き起こす人種的加重暴行(racially aggravated assault)や一般の加重暴行が、代替評決の考慮に至るかもしれない最も明らかなものであるが、他方で性犯罪や暴力を伴う暴行についても考慮することも重要である。

2.わが国の刑法193条等や特別刑法等で見る公務員職権濫用罪に関する厳格な運用上の課題

わが国では、刑法193条で「公務員職権濫用罪」、同194条で「特別公務員職権濫用罪」が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条があげられる。

他方、その運用の厳格性はどのように担保されていると考えるべきか。京都産業大学准教授の深尾正樹氏の論文や昭和57年1月28日公務員職権濫用に関する最高裁判決昭和54年12月26日の公務員職権濫用被告事件の東京高裁判決等材料は多い。

しかし、より運用面の取り組むべき課題は多いと考える。法務省・人権養護推進審議会資料「主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等」を見ておく。

「公権力による侵害の項目で「*拘禁施設内における人権侵害等は,その密室性により発覚しにくい場合があり,立証・資料収集が困難であるとの指摘がある。

*内部監査・監察においては,必ずしも正確な調査と情報開示が期待できない場合があるとの指摘がある。」というコメントがある。

この議論は入り口論のみと思うのは筆者だけであろうか。

******************************************************************:

(note1)「Law Commission」を「法改革委員会」と訳すのはおそらく筆者のみであろう。その理由は筆者のブログ「英国法務省の「検死官規則(Coroners Rules 1984)」の一部改正の背景と司法改革の観点からみた意義」を参照してほしい。

なお、Law Commissionサイトで基本的な役割を見ておく。「法改革委員会は1965年「法改革委員会法」に基づき創設された独立制定法機関であり、公正、近代化、単純化および費用面の効率化等の観点から、必要に応じ法改革に関する見直しや勧告等を行う。」

(note2) 刑法193条:公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。

(note3) 刑法194条:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。

(note4) 「破壊活動防止法(昭和27年7月21日法律第240号)」(公安調査官の職権濫用の罪)

  •  公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。

(note5) 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」

(公安調査官の職権濫用の罪)

第42条  公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

(警察職員の職権濫用の罪)

第43条  警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

(note6) 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」

第30条 捜査又は調査の権限を有する公務員が、その捜査又は調査の職務に関し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百七十九条第一項 又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)第十四条第一項 の罪を犯したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

(note7) 小坂正則「基本的人権無視の警察国家体制が着実に先行実施されている」

「この国は「盗撮・盗聴」の暗黒社会が完成しつつある」が比較的詳しく論じている。ただし、より専門的な視点からの問題の指摘論文を期待したい。

(note8) 「コモンロー」の詳しい説明は省略するが、次の解説がわかりやすい。

衡平法とは、イギリスで大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的救済が集積したことにより確立された法原則を意味する。エクイティ(equity)とも呼称される。英米判例法のうち、イギリスにおいて1875年まで存続した大法官裁判所(Court of Chancery)が定立した法であり、それ以降発達していったとされる。

沿革を下記に紹介する。

①イギリスでは古来からコモン・ロー裁判所による判決の集積である判例法をコモン・ローと呼称し、コモン・ローは民事、商事、刑事の分野で発展してきた。

②ところが、イギリスと欧州各国との交易が盛んになると、その厳格性からコモン・ローでは対応しきれない事案が登場し、新法分野である信託法に関する事案については、大法官が個別に救済を与えるという取扱いをすることとなった。

③コモン・ローが金銭賠償を民事上の救済方法とするのに対し、衡平法は、信託(trust)、特定履行(specific performance)、差止命令(injunction)など柔軟な救済方法を発達させていった。

沿革からわかる通り、衡平法はコモン・ローを補完し、法の具体的妥当性を実現する機能を有するものであるといえる。

なお、現在では、コモン・ローと衡平法の訴訟上の手続きはほぼ統一されているが、両者はいまだ別の法体系として存在している。(弁護士ドットコム「衡平法」から抜粋)

(note9) 1967年英国刑法第6条3項 の内容をあげておく。

(3)Where, on a person’s trial on indictment for any offence except treason or murder, the jury find him not guilty of the offence specifically charged in the indictment, but the allegations in the indictment amount to or include (expressly or by implication) an allegation of another offence falling within the jurisdiction of the court of trial, the jury may find him guilty of that other offence or of an offence of which he could be found guilty on an indictment specifically charging that other offence.

 

(note10) CrownCourtの解説(「イギリス連合王国(イングランド及びウェールズ)の司法制度」から一部抜粋)

正式起訴手続に係る刑事事件の第一審(ただし、必ず治安判事裁判所の予備審問を経る、科刑のために治安判事裁判所から付託された事件の科刑手続及び治安判事裁判所の刑事事件に関する上訴審を管轄する。第一審としては、中間的犯罪のうち被告人が陪審裁判を選択したときなど、及び全ての正式起訴状による刑事事件(正式起訴事件)を取り扱い、被告人が争った場合は、陪審制により裁判を行う。被告人が有罪の答弁をした場合には、陪審によることなく、直ちに量刑手続に移行することとなる。

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Copyright © 2006-2016 平野龍冶(Ryuji Hirano).All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means, including electronic, mechanical, photocopying, recording, or otherwise, without prior written permission of the author.

 

 

2016年9月5日に本委員会は、法改革のための選択肢を含む諮問書の公表をもって諮問手続きの第2段階を開始した。最終報告書は、2017年中に公表する予定である。

 

筆者が、この問題を取り上げた背景は、わが国でも同様の問題が大分県警のビデオ監視カメラ捜査事件で起きたからである。わが国では刑法193条で「公務員職権濫用罪」(note2)、同194条で「特別公務員職権濫用罪」(note3)が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条(note4)、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条(note5)、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条(note6)があげられる。

 

特に大分県警事件は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に抵触するだけでなく、刑法194条にも関わる問題であろう。(note7)

 

法改革委員会の諮問書にも明記されている通り、役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

その意味で、この問題についての英国の取り組みの解析は、わが国においても他山の石とすべき問題と考える。

 

  • 法改革委員会の役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)の刑法上の検討の経緯

 

(1)初回の諮問等をめぐる経緯

「役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)に関する諮問文書1」

役所の職権濫用行為にかかる現行刑法の問題に関する検討の背景理由書面、すなわち代替犯罪(alternative offences) としてのギャップと重複問題と同様に、不確実性の領域で発生する問題を強調的に表示した。

 

本委員会は、著名なスピーカーと論議を行うシンポジュームとともに、2016年1月20日に「諮問文書1(Misconduct in Public Office: Issues Paper 1)」9/6⑨を発刊し、この問題の諮問フェーズを立ち上げた(我々は、その日からツィッターで内容を公開している)。この段階では、現在の法律とその問題点に焦点を当てた。同諮問文書とシンポジウムの目的は、特定の問題に基づいた議論を刺激するための機会を我々に提供し、同犯罪を実際扱う実務家や専門家と交流の場とするものである。

 

(2)本委員会のプロジェクト目的

本委員会の法改革の目標は、役所の職権濫用行為にかかる既存の犯罪を廃止、維持、修正再規定または改正する必要があるか否かの決定と、さらに改革のために何らかの手法を追求する点にある。

 

役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

 

(3)犯罪の定義とその問題点(The offence and its problems)

「役所の職権濫用」は、コモンロー(note8)上の犯罪であり、いかなる制定法にも定められていない。一方、その最高刑は終身拘禁刑(life imprisonment)である。その犯罪行為とは、公務員が公務員(office holder)に対する国民の信頼の濫用した程度において,合理的な釈明や正当化事由なし(without reasonable excuse or justification.)に、故意に自身の義務を怠りかつ/または故意に職権を濫用したことをいう。

 

歴史的に見て、公務員の違法行為を犯罪として考慮する他の適切な方法がなかった。今日、このような不正行為は一般に別の狭義でかつ明確に定義された刑事犯罪(criminal offence)に該当しよう。

 

この犯罪は、定義が曖昧で広く考えられており、また政府、控訴裁判所、メデイアや法学者によって最近批判の対象とされている。

社会統計では、有罪につながるそれらの告発が極めて少ない一方で、多くの人々は役所の職権濫用は起訴されるべきという点を示唆している。その1 つの可能な理由は、犯罪の明確な定義のない判決のつ言い渡しは困難であることである。

 

本委員会は、いくつかのこの問題にかかる「犯罪の定義」問題を、以下のとおり明確化した。

 

①「役所(Public office)」は、明確な定義を欠いているが、なお犯罪の重要な要素である。この曖昧さは、その犯罪の解釈・適用に重大な困難をもたらす。

 

②公職権者であるための義務の類型が十分に定義されていない。これらの特定の義務の違反を証明するために不可欠であるかどうかも、判例法上不明確である。

 

③「国民の信頼の濫用(abuse of the public trust)」が、この犯罪の成立判断の「しきい値要素」として重要な点である一方で、内容が曖昧で、捜査官(investigators)、検察官(prosecutors)、陪審員(juries)に適用するのが困難である。.

 

④犯罪を証明する必要な「違反の要素(fault element)」は、状況によって異なる。これらは、一般的でなく、無節操(unprincipled)な立場にある。

 

⑤「合理的な釈明や正当化事由がなく(without reasonable excuse or justification)」が犯罪の要素として明らかであったとしても、それは自立した防御または定義された要素として機能するかどうかは不明である。

 

  • 今回の諮問にかかる関連文書の一覧を添付する。なお、筆者の責任でリンクを貼った。

 

【添付文書】

① Reforming Misconduct in Public Office consultation PDF, 1MB (全224頁) 9/6⑤

② Reforming Misconduct in Public Office consultation summary PDF, 164kB (全19頁) 9/6⑥

③ Diwygio Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus Crynodeb PDF, 188kB (全20頁) 9/6⑦

④ Reforming Misconduct in Public Office Appendix PDF, 110kB (全10頁) 9/6⑧

⑤ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1 PDF, 748kB  9/6⑨

⑥ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Summary (English) PDF, 182kB 9/6⑩

⑦ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Materion Papur 1 – Y Gyfraithbresennol PDF, 168kB (全18頁)9/6⑪

⑧ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Overview (English) PDF, 69kB (全2頁)9/6⑫

⑨ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Papur Materion 1 – Y Gyfraith Ar Hyn O Bryd Trosolwg PDF, 72kB (全3頁)9/6⑬

Appendix A – History of the Offence of Misconduct in Public Office PDF, 260kB 9/6⑭

Appendix B – Misfeasance in Public Office (A Paper by Mark Aronson) PDF, 225kB 9/6⑮

Appendix C – Misconduct in Public Office and the ECHR PDF, 170kB 9/6⑯

Appendix D – Spreadsheets relating to Misconduct in Public Office PDF, 164kB 9/6 ⑰

Appendix E – Previous Reform Proposals PDF, 146kB 9/6⑱

Appendix F – International Comparisons PDF, 260kB 9/6 ⑲

 

  • 代替犯罪(alternative offense)にかかる起訴以外による陪審評決( Alternative

verdicts )9/6(22)の意義

英国内の資料を調べてみたが、これといった資料は見当たらなかった。以下の内容につき、自信はないが、参考までにまとめてみた。

 

「1967年刑法(Criminal Law Act 1977)」9/6(38)の第6条(3)項(note9)に従い、陪審は以下の場合、起訴に関して被告を代替犯罪(alternative offense)として有罪であるとする判決を下しうる。

①被告は、反逆罪(treason)または殺人罪(Murder)以外のいかなる犯罪に関する起訴に関して裁判にかけられうる。;

②陪審は、被告に対し起訴に基づく有罪であるとする評決は下さない。

③明白または暗に刑事法院(Crown Court) (note10) の管轄権に入るかまたは別の犯罪の起訴の申し立てによる。

 

略式起訴犯罪(刑法第40条の略式起訴犯罪(summary offense)が当てはまる)は、この定義に入るし、刑事裁判所によって判決を下されるかもしれない。同裁判所は、治安判事裁判所(magistrates court)の宣告権限に制約される。

 

実際に身体の傷害を引き起こす損傷(wounding)、暴行(assault)や身体の傷害を引き起こす人種的加重暴行(racially aggravated assault)や一般の加重暴行が、代替評決の考慮に至るかもしれない最も明らかなものであるが、他方で性犯罪や暴力を伴う暴行についても考慮することも重要である。

 

  • わが国の刑法193条等や特別刑法等で見る公務員職権濫用罪に関する厳格な運用上の課題

わが国では、刑法193条で「公務員職権濫用罪」、同194条で「特別公務員職権濫用罪」が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条があげられる。

 

他方、その運用の厳格性はどのように担保されていると考えるべきか。京都産業大学准教授の深尾正樹氏9/6(34)の論文や昭和57年1月28日公務員職権濫用に関する最高裁判決9/6(33)、昭和54年12月26日の公務員職権濫用被告事件の東京高裁判決9/6(35)等材料は多い。

しかし、より運用面の取り組むべき課題は多いと考える。法務省・人権養護推進審議会資料「主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等」9/6(37)を見ておく。

「公権力による侵害の項目で「*拘禁施設内における人権侵害等は,その密室性により発覚しにくい場合があり,立証・資料収集が困難であるとの指摘がある。

*内部監査・監察においては,必ずしも正確な調査と情報開示が期待できない場合があるとの指摘がある。」というコメントがある。

この議論は入り口論のみと思うのは筆者だけであろうか。

 

******************************************************************:

(note1)「Law Commission」を「法改革委員会」と訳すのはおそらく筆者のみであろう。その理由は筆者のブログ「英国法務省の「検死官規則(Coroners Rules 1984)」の一部改正の背景と司法改革の観点からみた意義」9/6(24)を参照してほしい。

なお、Law Commissionサイトで基本的な役割を見ておく。「法改革委員会は1965年「法改革委員会法」9/6(30)に基づき創設された独立制定法機関であり、公正、近代化、単純化および費用面の効率化等の観点から、必要に応じ法改革に関する見直しや勧告等を行う。」

 

(note2) 刑法193条:公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note3) 刑法194条:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note4) 「破壊活動防止法(昭和27年7月21日法律第240号)」(公安調査官の職権濫用の罪)

  •  公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。

 

(note5) 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」

(公安調査官の職権濫用の罪)

第42条  公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

(警察職員の職権濫用の罪)

第43条  警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note6) 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」

第30条 捜査又は調査の権限を有する公務員が、その捜査又は調査の職務に関し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百七十九条第一項 又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)第十四条第一項 の罪を犯したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(note7) 小坂正則「基本的人権無視の警察国家体制が着実に先行実施されている」9/6(26)、

同「この国は「盗撮・盗聴」の暗黒社会が完成しつつある」9/6(27)が比較的詳しく論じている。ただし、より専門的な視点からの問題の指摘論文を期待したい。

 

(note8) 「コモンロー」の詳しい説明は省略するが、次の解説がわかりやすい。

衡平法とは、イギリスで大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的救済が集積したことにより確立された法原則を意味する。エクイティ(equity)とも呼称される。英米判例法のうち、イギリスにおいて1875年まで存続した大法官裁判所(Court of Chancery)が定立した法であり、それ以降発達していったとされる。

 

沿革を下記に紹介する。

①イギリスでは古来からコモン・ロー裁判所による判決の集積である判例法をコモン・ローと呼称し、コモン・ローは民事、商事、刑事の分野で発展してきた。

②ところが、イギリスと欧州各国との交易が盛んになると、その厳格性からコモン・ローでは対応しきれない事案が登場し、新法分野である信託法に関する事案については、大法官が個別に救済を与えるという取扱いをすることとなった。

③コモン・ローが金銭賠償を民事上の救済方法とするのに対し、衡平法は、信託(trust)、特定履行(specific performance)、差止命令(injunction)など柔軟な救済方法を発達させていった。

 

沿革からわかる通り、衡平法はコモン・ローを補完し、法の具体的妥当性を実現する機能を有するものであるといえる。

 

なお、現在では、コモン・ローと衡平法の訴訟上の手続きはほぼ統一されているが、両者はいまだ別の法体系として存在している。(弁護士ドットコム「衡平法」9/6(31)から抜粋)

 

(note9) 1967年英国刑法第6条3項 9/6(22)の内容をあげておく。

 

  • Where, on a person’s trial on indictment for any offence except treason or murder, the jury find him not guilty of the offence specifically charged in the indictment, but the allegations in the indictment amount to or include (expressly or by implication) an allegation of another offence falling within the jurisdiction of the court of trial, the jury may find him guilty of that other offence or of an offence of which he could be found guilty on an indictment specifically charging that other offence.

 

(note10) CrownCourtの解説(「イギリス連合王国(イングランド及びウェールズ)の司法制度」9/6(39)から一部抜粋)

正式起訴手続に係る刑事事件の第一審(ただし、必ず治安判事裁判所の予

備審問を経る、科刑のために治安判事裁判所から付託された事件の科刑手

。)

続及び治安判事裁判所の刑事事件に関する上訴審を管轄する。第一審として

は、中間的犯罪のうち被告人が陪審裁判を選択したときなど、及び全ての正

式起訴状による刑事事件(正式起訴事件)を取り扱い、被告人が争った場合

は、陪審制により裁判を行う。被告人が有罪の答弁をした場合には、陪審に

よることなく、直ちに量刑手続に移行することとなる。

 

 

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Copyright © 2006-2016 平野龍冶(Ryuji Hirano).All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means, including electronic, mechanical, photocopying, recording, or otherwise, without prior written permission of the author.

 

 

 

 

 

2016年9月5日に本委員会は、法改革のための選択肢を含む諮問書の公表をもって諮問手続きの第2段階を開始した。最終報告書は、2017年中に公表する予定である。

 

筆者が、この問題を取り上げた背景は、わが国でも同様の問題が大分県警のビデオ監視カメラ捜査事件で起きたからである。わが国では刑法193条で「公務員職権濫用罪」(note2)、同194条で「特別公務員職権濫用罪」(note3)が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条(note4)、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条(note5)、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条(note6)があげられる。

 

特に大分県警事件は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に抵触するだけでなく、刑法194条にも関わる問題であろう。(note7)

 

法改革委員会の諮問書にも明記されている通り、役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

その意味で、この問題についての英国の取り組みの解析は、わが国においても他山の石とすべき問題と考える。

 

  • 法改革委員会の役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)の刑法上の検討の経緯

 

(1)初回の諮問等をめぐる経緯

「役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)に関する諮問文書1」

役所の職権濫用行為にかかる現行刑法の問題に関する検討の背景理由書面、すなわち代替犯罪(alternative offences) としてのギャップと重複問題と同様に、不確実性の領域で発生する問題を強調的に表示した。

 

本委員会は、著名なスピーカーと論議を行うシンポジュームとともに、2016年1月20日に「諮問文書1(Misconduct in Public Office: Issues Paper 1)」9/6⑨を発刊し、この問題の諮問フェーズを立ち上げた(我々は、その日からツィッターで内容を公開している)。この段階では、現在の法律とその問題点に焦点を当てた。同諮問文書とシンポジウムの目的は、特定の問題に基づいた議論を刺激するための機会を我々に提供し、同犯罪を実際扱う実務家や専門家と交流の場とするものである。

 

(2)本委員会のプロジェクト目的

本委員会の法改革の目標は、役所の職権濫用行為にかかる既存の犯罪を廃止、維持、修正再規定または改正する必要があるか否かの決定と、さらに改革のために何らかの手法を追求する点にある。

 

役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

 

(3)犯罪の定義とその問題点(The offence and its problems)

「役所の職権濫用」は、コモンロー(note8)上の犯罪であり、いかなる制定法にも定められていない。一方、その最高刑は終身拘禁刑(life imprisonment)である。その犯罪行為とは、公務員が公務員(office holder)に対する国民の信頼の濫用した程度において,合理的な釈明や正当化事由なし(without reasonable excuse or justification.)に、故意に自身の義務を怠りかつ/または故意に職権を濫用したことをいう。

 

歴史的に見て、公務員の違法行為を犯罪として考慮する他の適切な方法がなかった。今日、このような不正行為は一般に別の狭義でかつ明確に定義された刑事犯罪(criminal offence)に該当しよう。

 

この犯罪は、定義が曖昧で広く考えられており、また政府、控訴裁判所、メデイアや法学者によって最近批判の対象とされている。

社会統計では、有罪につながるそれらの告発が極めて少ない一方で、多くの人々は役所の職権濫用は起訴されるべきという点を示唆している。その1 つの可能な理由は、犯罪の明確な定義のない判決のつ言い渡しは困難であることである。

 

本委員会は、いくつかのこの問題にかかる「犯罪の定義」問題を、以下のとおり明確化した。

 

①「役所(Public office)」は、明確な定義を欠いているが、なお犯罪の重要な要素である。この曖昧さは、その犯罪の解釈・適用に重大な困難をもたらす。

 

②公職権者であるための義務の類型が十分に定義されていない。これらの特定の義務の違反を証明するために不可欠であるかどうかも、判例法上不明確である。

 

③「国民の信頼の濫用(abuse of the public trust)」が、この犯罪の成立判断の「しきい値要素」として重要な点である一方で、内容が曖昧で、捜査官(investigators)、検察官(prosecutors)、陪審員(juries)に適用するのが困難である。.

 

④犯罪を証明する必要な「違反の要素(fault element)」は、状況によって異なる。これらは、一般的でなく、無節操(unprincipled)な立場にある。

 

⑤「合理的な釈明や正当化事由がなく(without reasonable excuse or justification)」が犯罪の要素として明らかであったとしても、それは自立した防御または定義された要素として機能するかどうかは不明である。

 

  • 今回の諮問にかかる関連文書の一覧を添付する。なお、筆者の責任でリンクを貼った。

 

【添付文書】

① Reforming Misconduct in Public Office consultation PDF, 1MB (全224頁) 9/6⑤

② Reforming Misconduct in Public Office consultation summary PDF, 164kB (全19頁) 9/6⑥

③ Diwygio Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus Crynodeb PDF, 188kB (全20頁) 9/6⑦

④ Reforming Misconduct in Public Office Appendix PDF, 110kB (全10頁) 9/6⑧

⑤ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1 PDF, 748kB  9/6⑨

⑥ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Summary (English) PDF, 182kB 9/6⑩

⑦ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Materion Papur 1 – Y Gyfraithbresennol PDF, 168kB (全18頁)9/6⑪

⑧ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Overview (English) PDF, 69kB (全2頁)9/6⑫

⑨ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Papur Materion 1 – Y Gyfraith Ar Hyn O Bryd Trosolwg PDF, 72kB (全3頁)9/6⑬

Appendix A – History of the Offence of Misconduct in Public Office PDF, 260kB 9/6⑭

Appendix B – Misfeasance in Public Office (A Paper by Mark Aronson) PDF, 225kB 9/6⑮

Appendix C – Misconduct in Public Office and the ECHR PDF, 170kB 9/6⑯

Appendix D – Spreadsheets relating to Misconduct in Public Office PDF, 164kB 9/6 ⑰

Appendix E – Previous Reform Proposals PDF, 146kB 9/6⑱

Appendix F – International Comparisons PDF, 260kB 9/6 ⑲

 

  • 代替犯罪(alternative offense)にかかる起訴以外による陪審評決( Alternative

verdicts )9/6(22)の意義

英国内の資料を調べてみたが、これといった資料は見当たらなかった。以下の内容につき、自信はないが、参考までにまとめてみた。

 

「1967年刑法(Criminal Law Act 1977)」9/6(38)の第6条(3)項(note9)に従い、陪審は以下の場合、起訴に関して被告を代替犯罪(alternative offense)として有罪であるとする判決を下しうる。

①被告は、反逆罪(treason)または殺人罪(Murder)以外のいかなる犯罪に関する起訴に関して裁判にかけられうる。;

②陪審は、被告に対し起訴に基づく有罪であるとする評決は下さない。

③明白または暗に刑事法院(Crown Court) (note10) の管轄権に入るかまたは別の犯罪の起訴の申し立てによる。

 

略式起訴犯罪(刑法第40条の略式起訴犯罪(summary offense)が当てはまる)は、この定義に入るし、刑事裁判所によって判決を下されるかもしれない。同裁判所は、治安判事裁判所(magistrates court)の宣告権限に制約される。

 

実際に身体の傷害を引き起こす損傷(wounding)、暴行(assault)や身体の傷害を引き起こす人種的加重暴行(racially aggravated assault)や一般の加重暴行が、代替評決の考慮に至るかもしれない最も明らかなものであるが、他方で性犯罪や暴力を伴う暴行についても考慮することも重要である。

 

  • わが国の刑法193条等や特別刑法等で見る公務員職権濫用罪に関する厳格な運用上の課題

わが国では、刑法193条で「公務員職権濫用罪」、同194条で「特別公務員職権濫用罪」が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条があげられる。

 

他方、その運用の厳格性はどのように担保されていると考えるべきか。京都産業大学准教授の深尾正樹氏9/6(34)の論文や昭和57年1月28日公務員職権濫用に関する最高裁判決9/6(33)、昭和54年12月26日の公務員職権濫用被告事件の東京高裁判決9/6(35)等材料は多い。

しかし、より運用面の取り組むべき課題は多いと考える。法務省・人権養護推進審議会資料「主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等」9/6(37)を見ておく。

「公権力による侵害の項目で「*拘禁施設内における人権侵害等は,その密室性により発覚しにくい場合があり,立証・資料収集が困難であるとの指摘がある。

*内部監査・監察においては,必ずしも正確な調査と情報開示が期待できない場合があるとの指摘がある。」というコメントがある。

この議論は入り口論のみと思うのは筆者だけであろうか。

 

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(note1)「Law Commission」を「法改革委員会」と訳すのはおそらく筆者のみであろう。その理由は筆者のブログ「英国法務省の「検死官規則(Coroners Rules 1984)」の一部改正の背景と司法改革の観点からみた意義」9/6(24)を参照してほしい。

なお、Law Commissionサイトで基本的な役割を見ておく。「法改革委員会は1965年「法改革委員会法」9/6(30)に基づき創設された独立制定法機関であり、公正、近代化、単純化および費用面の効率化等の観点から、必要に応じ法改革に関する見直しや勧告等を行う。」

 

(note2) 刑法193条:公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note3) 刑法194条:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note4) 「破壊活動防止法(昭和27年7月21日法律第240号)」(公安調査官の職権濫用の罪)

  •  公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。

 

(note5) 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」

(公安調査官の職権濫用の罪)

第42条  公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

(警察職員の職権濫用の罪)

第43条  警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note6) 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」

第30条 捜査又は調査の権限を有する公務員が、その捜査又は調査の職務に関し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百七十九条第一項 又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)第十四条第一項 の罪を犯したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(note7) 小坂正則「基本的人権無視の警察国家体制が着実に先行実施されている」9/6(26)、

同「この国は「盗撮・盗聴」の暗黒社会が完成しつつある」9/6(27)が比較的詳しく論じている。ただし、より専門的な視点からの問題の指摘論文を期待したい。

 

(note8) 「コモンロー」の詳しい説明は省略するが、次の解説がわかりやすい。

衡平法とは、イギリスで大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的救済が集積したことにより確立された法原則を意味する。エクイティ(equity)とも呼称される。英米判例法のうち、イギリスにおいて1875年まで存続した大法官裁判所(Court of Chancery)が定立した法であり、それ以降発達していったとされる。

 

沿革を下記に紹介する。

①イギリスでは古来からコモン・ロー裁判所による判決の集積である判例法をコモン・ローと呼称し、コモン・ローは民事、商事、刑事の分野で発展してきた。

②ところが、イギリスと欧州各国との交易が盛んになると、その厳格性からコモン・ローでは対応しきれない事案が登場し、新法分野である信託法に関する事案については、大法官が個別に救済を与えるという取扱いをすることとなった。

③コモン・ローが金銭賠償を民事上の救済方法とするのに対し、衡平法は、信託(trust)、特定履行(specific performance)、差止命令(injunction)など柔軟な救済方法を発達させていった。

 

沿革からわかる通り、衡平法はコモン・ローを補完し、法の具体的妥当性を実現する機能を有するものであるといえる。

 

なお、現在では、コモン・ローと衡平法の訴訟上の手続きはほぼ統一されているが、両者はいまだ別の法体系として存在している。(弁護士ドットコム「衡平法」9/6(31)から抜粋)

 

(note9) 1967年英国刑法第6条3項 9/6(22)の内容をあげておく。

 

  • Where, on a person’s trial on indictment for any offence except treason or murder, the jury find him not guilty of the offence specifically charged in the indictment, but the allegations in the indictment amount to or include (expressly or by implication) an allegation of another offence falling within the jurisdiction of the court of trial, the jury may find him guilty of that other offence or of an offence of which he could be found guilty on an indictment specifically charging that other offence.

 

(note10) CrownCourtの解説(「イギリス連合王国(イングランド及びウェールズ)の司法制度」9/6(39)から一部抜粋)

正式起訴手続に係る刑事事件の第一審(ただし、必ず治安判事裁判所の予

備審問を経る、科刑のために治安判事裁判所から付託された事件の科刑手

。)

続及び治安判事裁判所の刑事事件に関する上訴審を管轄する。第一審として

は、中間的犯罪のうち被告人が陪審裁判を選択したときなど、及び全ての正

式起訴状による刑事事件(正式起訴事件)を取り扱い、被告人が争った場合

は、陪審制により裁判を行う。被告人が有罪の答弁をした場合には、陪審に

よることなく、直ちに量刑手続に移行することとなる。

 

 

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Copyright © 2006-2016 平野龍冶(Ryuji Hirano).All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means, including electronic, mechanical, photocopying, recording, or otherwise, without prior written permission of the author.

 

 

2016年9月5日に本委員会は、法改革のための選択肢を含む諮問書の公表をもって諮問手続きの第2段階を開始した。最終報告書は、2017年中に公表する予定である。

 

筆者が、この問題を取り上げた背景は、わが国でも同様の問題が大分県警のビデオ監視カメラ捜査事件で起きたからである。わが国では刑法193条で「公務員職権濫用罪」(note2)、同194条で「特別公務員職権濫用罪」(note3)が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条(note4)、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条(note5)、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条(note6)があげられる。

 

特に大分県警事件は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に抵触するだけでなく、刑法194条にも関わる問題であろう。(note7)

 

法改革委員会の諮問書にも明記されている通り、役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

その意味で、この問題についての英国の取り組みの解析は、わが国においても他山の石とすべき問題と考える。

 

  • 法改革委員会の役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)の刑法上の検討の経緯

 

(1)初回の諮問等をめぐる経緯

「役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)に関する諮問文書1」

役所の職権濫用行為にかかる現行刑法の問題に関する検討の背景理由書面、すなわち代替犯罪(alternative offences) としてのギャップと重複問題と同様に、不確実性の領域で発生する問題を強調的に表示した。

 

本委員会は、著名なスピーカーと論議を行うシンポジュームとともに、2016年1月20日に「諮問文書1(Misconduct in Public Office: Issues Paper 1)」9/6⑨を発刊し、この問題の諮問フェーズを立ち上げた(我々は、その日からツィッターで内容を公開している)。この段階では、現在の法律とその問題点に焦点を当てた。同諮問文書とシンポジウムの目的は、特定の問題に基づいた議論を刺激するための機会を我々に提供し、同犯罪を実際扱う実務家や専門家と交流の場とするものである。

 

(2)本委員会のプロジェクト目的

本委員会の法改革の目標は、役所の職権濫用行為にかかる既存の犯罪を廃止、維持、修正再規定または改正する必要があるか否かの決定と、さらに改革のために何らかの手法を追求する点にある。

 

役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

 

(3)犯罪の定義とその問題点(The offence and its problems)

「役所の職権濫用」は、コモンロー(note8)上の犯罪であり、いかなる制定法にも定められていない。一方、その最高刑は終身拘禁刑(life imprisonment)である。その犯罪行為とは、公務員が公務員(office holder)に対する国民の信頼の濫用した程度において,合理的な釈明や正当化事由なし(without reasonable excuse or justification.)に、故意に自身の義務を怠りかつ/または故意に職権を濫用したことをいう。

 

歴史的に見て、公務員の違法行為を犯罪として考慮する他の適切な方法がなかった。今日、このような不正行為は一般に別の狭義でかつ明確に定義された刑事犯罪(criminal offence)に該当しよう。

 

この犯罪は、定義が曖昧で広く考えられており、また政府、控訴裁判所、メデイアや法学者によって最近批判の対象とされている。

社会統計では、有罪につながるそれらの告発が極めて少ない一方で、多くの人々は役所の職権濫用は起訴されるべきという点を示唆している。その1 つの可能な理由は、犯罪の明確な定義のない判決のつ言い渡しは困難であることである。

 

本委員会は、いくつかのこの問題にかかる「犯罪の定義」問題を、以下のとおり明確化した。

 

①「役所(Public office)」は、明確な定義を欠いているが、なお犯罪の重要な要素である。この曖昧さは、その犯罪の解釈・適用に重大な困難をもたらす。

 

②公職権者であるための義務の類型が十分に定義されていない。これらの特定の義務の違反を証明するために不可欠であるかどうかも、判例法上不明確である。

 

③「国民の信頼の濫用(abuse of the public trust)」が、この犯罪の成立判断の「しきい値要素」として重要な点である一方で、内容が曖昧で、捜査官(investigators)、検察官(prosecutors)、陪審員(juries)に適用するのが困難である。.

 

④犯罪を証明する必要な「違反の要素(fault element)」は、状況によって異なる。これらは、一般的でなく、無節操(unprincipled)な立場にある。

 

⑤「合理的な釈明や正当化事由がなく(without reasonable excuse or justification)」が犯罪の要素として明らかであったとしても、それは自立した防御または定義された要素として機能するかどうかは不明である。

 

  • 今回の諮問にかかる関連文書の一覧を添付する。なお、筆者の責任でリンクを貼った。

 

【添付文書】

① Reforming Misconduct in Public Office consultation PDF, 1MB (全224頁) 9/6⑤

② Reforming Misconduct in Public Office consultation summary PDF, 164kB (全19頁) 9/6⑥

③ Diwygio Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus Crynodeb PDF, 188kB (全20頁) 9/6⑦

④ Reforming Misconduct in Public Office Appendix PDF, 110kB (全10頁) 9/6⑧

⑤ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1 PDF, 748kB  9/6⑨

⑥ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Summary (English) PDF, 182kB 9/6⑩

⑦ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Materion Papur 1 – Y Gyfraithbresennol PDF, 168kB (全18頁)9/6⑪

⑧ Misconduct in Public Office – Issues Paper 1: Overview (English) PDF, 69kB (全2頁)9/6⑫

⑨ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Papur Materion 1 – Y Gyfraith Ar Hyn O Bryd Trosolwg PDF, 72kB (全3頁)9/6⑬

Appendix A – History of the Offence of Misconduct in Public Office PDF, 260kB 9/6⑭

Appendix B – Misfeasance in Public Office (A Paper by Mark Aronson) PDF, 225kB 9/6⑮

Appendix C – Misconduct in Public Office and the ECHR PDF, 170kB 9/6⑯

Appendix D – Spreadsheets relating to Misconduct in Public Office PDF, 164kB 9/6 ⑰

Appendix E – Previous Reform Proposals PDF, 146kB 9/6⑱

Appendix F – International Comparisons PDF, 260kB 9/6 ⑲

 

  • 代替犯罪(alternative offense)にかかる起訴以外による陪審評決( Alternative

verdicts )9/6(22)の意義

英国内の資料を調べてみたが、これといった資料は見当たらなかった。以下の内容につき、自信はないが、参考までにまとめてみた。

 

「1967年刑法(Criminal Law Act 1977)」9/6(38)の第6条(3)項(note9)に従い、陪審は以下の場合、起訴に関して被告を代替犯罪(alternative offense)として有罪であるとする判決を下しうる。

①被告は、反逆罪(treason)または殺人罪(Murder)以外のいかなる犯罪に関する起訴に関して裁判にかけられうる。;

②陪審は、被告に対し起訴に基づく有罪であるとする評決は下さない。

③明白または暗に刑事法院(Crown Court) (note10) の管轄権に入るかまたは別の犯罪の起訴の申し立てによる。

 

略式起訴犯罪(刑法第40条の略式起訴犯罪(summary offense)が当てはまる)は、この定義に入るし、刑事裁判所によって判決を下されるかもしれない。同裁判所は、治安判事裁判所(magistrates court)の宣告権限に制約される。

 

実際に身体の傷害を引き起こす損傷(wounding)、暴行(assault)や身体の傷害を引き起こす人種的加重暴行(racially aggravated assault)や一般の加重暴行が、代替評決の考慮に至るかもしれない最も明らかなものであるが、他方で性犯罪や暴力を伴う暴行についても考慮することも重要である。

 

  • わが国の刑法193条等や特別刑法等で見る公務員職権濫用罪に関する厳格な運用上の課題

わが国では、刑法193条で「公務員職権濫用罪」、同194条で「特別公務員職権濫用罪」が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条があげられる。

 

他方、その運用の厳格性はどのように担保されていると考えるべきか。京都産業大学准教授の深尾正樹氏9/6(34)の論文や昭和57年1月28日公務員職権濫用に関する最高裁判決9/6(33)、昭和54年12月26日の公務員職権濫用被告事件の東京高裁判決9/6(35)等材料は多い。

しかし、より運用面の取り組むべき課題は多いと考える。法務省・人権養護推進審議会資料「主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等」9/6(37)を見ておく。

「公権力による侵害の項目で「*拘禁施設内における人権侵害等は,その密室性により発覚しにくい場合があり,立証・資料収集が困難であるとの指摘がある。

*内部監査・監察においては,必ずしも正確な調査と情報開示が期待できない場合があるとの指摘がある。」というコメントがある。

この議論は入り口論のみと思うのは筆者だけであろうか。

 

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(note1)「Law Commission」を「法改革委員会」と訳すのはおそらく筆者のみであろう。その理由は筆者のブログ「英国法務省の「検死官規則(Coroners Rules 1984)」の一部改正の背景と司法改革の観点からみた意義」9/6(24)を参照してほしい。

なお、Law Commissionサイトで基本的な役割を見ておく。「法改革委員会は1965年「法改革委員会法」9/6(30)に基づき創設された独立制定法機関であり、公正、近代化、単純化および費用面の効率化等の観点から、必要に応じ法改革に関する見直しや勧告等を行う。」

 

(note2) 刑法193条:公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note3) 刑法194条:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note4) 「破壊活動防止法(昭和27年7月21日法律第240号)」(公安調査官の職権濫用の罪)

  •  公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。

 

(note5) 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」

(公安調査官の職権濫用の罪)

第42条  公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

(警察職員の職権濫用の罪)

第43条  警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

(note6) 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」

第30条 捜査又は調査の権限を有する公務員が、その捜査又は調査の職務に関し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百七十九条第一項 又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)第十四条第一項 の罪を犯したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(note7) 小坂正則「基本的人権無視の警察国家体制が着実に先行実施されている」9/6(26)、

同「この国は「盗撮・盗聴」の暗黒社会が完成しつつある」9/6(27)が比較的詳しく論じている。ただし、より専門的な視点からの問題の指摘論文を期待したい。

 

(note8) 「コモンロー」の詳しい説明は省略するが、次の解説がわかりやすい。

衡平法とは、イギリスで大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的救済が集積したことにより確立された法原則を意味する。エクイティ(equity)とも呼称される。英米判例法のうち、イギリスにおいて1875年まで存続した大法官裁判所(Court of Chancery)が定立した法であり、それ以降発達していったとされる。

 

沿革を下記に紹介する。

①イギリスでは古来からコモン・ロー裁判所による判決の集積である判例法をコモン・ローと呼称し、コモン・ローは民事、商事、刑事の分野で発展してきた。

②ところが、イギリスと欧州各国との交易が盛んになると、その厳格性からコモン・ローでは対応しきれない事案が登場し、新法分野である信託法に関する事案については、大法官が個別に救済を与えるという取扱いをすることとなった。

③コモン・ローが金銭賠償を民事上の救済方法とするのに対し、衡平法は、信託(trust)、特定履行(specific performance)、差止命令(injunction)など柔軟な救済方法を発達させていった。

 

沿革からわかる通り、衡平法はコモン・ローを補完し、法の具体的妥当性を実現する機能を有するものであるといえる。

 

なお、現在では、コモン・ローと衡平法の訴訟上の手続きはほぼ統一されているが、両者はいまだ別の法体系として存在している。(弁護士ドットコム「衡平法」9/6(31)から抜粋)

 

(note9) 1967年英国刑法第6条3項 9/6(22)の内容をあげておく。

 

  • Where, on a person’s trial on indictment for any offence except treason or murder, the jury find him not guilty of the offence specifically charged in the indictment, but the allegations in the indictment amount to or include (expressly or by implication) an allegation of another offence falling within the jurisdiction of the court of trial, the jury may find him guilty of that other offence or of an offence of which he could be found guilty on an indictment specifically charging that other offence.

 

(note10) CrownCourtの解説(「イギリス連合王国(イングランド及びウェールズ)の司法制度」9/6(39)から一部抜粋)

正式起訴手続に係る刑事事件の第一審(ただし、必ず治安判事裁判所の予

備審問を経る、科刑のために治安判事裁判所から付託された事件の科刑手

。)

続及び治安判事裁判所の刑事事件に関する上訴審を管轄する。第一審として

は、中間的犯罪のうち被告人が陪審裁判を選択したときなど、及び全ての正

式起訴状による刑事事件(正式起訴事件)を取り扱い、被告人が争った場合

は、陪審制により裁判を行う。被告人が有罪の答弁をした場合には、陪審に

よることなく、直ちに量刑手続に移行することとなる。

 

 

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